権力と思惑が脅かす国民の暮らし

第48話 自分の価値を見つける旅

私たちは時折、「自分には価値があるのだろうか」と自問することがある。社会の中での役割、他人からの評価、目に見える成果――これらが価値の基準として捉えられることが多い現代では、そうした基準に達しないと感じる瞬間に、自己否定の感情が湧き上がることがある。しかし、私たちの価値は本当に外部の基準によって測られるものなのだろうか。

たとえば、職場や学校での評価が芳しくないとき、自分に価値がないと思い込むことがある。しかし、他人の評価はあくまで一側面に過ぎず、それが自分自身の全体像を表しているわけではない。ある場面で認められなくても、別の場面ではその人だけが持つ価値が輝くことがある。価値は一つの基準で測れるものではなく、状況や環境によって異なるのだ。

また、成果が見えない日々の努力も、無価値に感じられることがある。たとえば、子育てや介護、あるいは自己成長のための勉強など、一見地味で目立たない行動は、周囲から評価されにくい。しかし、それらの行動は確実に誰かの支えとなり、自分自身の未来を形作る大切な基盤となっている。目に見えない価値があることを理解することは、自分を肯定する上で重要だ。

さらに、他人と比べることで自分の価値を見失うこともある。他人の成功や才能に目を向けると、自分が劣っているように感じてしまうことがある。しかし、他人には他人の道があり、自分には自分のペースと価値がある。他人と違うからこそ、そこに個性が生まれるのだ。自分の価値は、他人との比較の中ではなく、自分自身の中にある。

では、自分の価値を見つけるにはどうすればよいのだろうか。一つの方法は、「自分が大切にしているもの」に目を向けることだ。価値は外部の基準で測るものではなく、自分の信念や目標、情熱によって定まる。たとえば、「家族を支えることが自分にとって大切だ」と思えば、それが自分の価値の基盤となる。

また、「小さな成功を積み重ねる」ことも役立つ。大きな成果や目標だけを追い求めるのではなく、日々の中で達成した小さなことに目を向けることで、自分の価値を実感できるようになる。たとえば、「今日は自分のペースで仕事を進められた」「友人を励ますことができた」といったことも立派な価値の証だ。

さらに、「自分を他者と結びつける視点」を持つことも、自分の価値を感じる助けとなる。自分がしたことが誰かの役に立っている、誰かを笑顔にしていると実感することで、自分の存在が持つ意義を認識できる。価値は他者とのつながりの中で見つけられることも多い。

自分の価値を見つける旅は、時に迷い、遠回りすることがある。しかし、その旅路の中で自分が何を大切にし、何に喜びを感じるのかを知ることができれば、それが何よりの財産となるだろう。他人や社会の基準に縛られるのではなく、自分自身で価値を見出し、それを信じる力を持つことができれば、私たちはより自由で充実した人生を送ることができるのではないだろうか。