第17話 忘れ去られる地方の声

日本は「地方創生」を掲げて久しい。しかし実際には、地方が抱える問題は放置されることが多く、都市部の影に隠れてその声が忘れ去られているように感じる。少子高齢化、過疎化、産業の衰退――これらの課題は、地方に住む人々の生活を直撃しているにもかかわらず、根本的な解決策が講じられることはほとんどない。


たとえば、地方の過疎化は深刻だ。若者が都市部に流出し、地域社会は高齢者ばかりが残る状況が広がっている。学校や病院といった基盤となる施設が閉鎖され、住民が日常生活を送ることさえ難しくなる地域も増えている。それでも、国や自治体が行う施策は短期的な補助金や目先のイベントにとどまり、長期的な視野で地域を支える仕組みづくりが進んでいない。


地方経済も同様だ。観光業や農林水産業に頼る地方が多いが、それらの分野も人手不足や収益低下に苦しんでいる。さらに、コロナ禍以降は観光客の減少がダメージとなり、経営が立ち行かなくなった事業者も少なくない。それでも、都市部を優先する政策が続く中で、地方への投資は後回しにされている。


情報の面でも、地方の声は十分に届いていない。メディアの報道では、都市部のニュースが中心に扱われ、地方で起きている課題はほとんど取り上げられない。地方の問題が広く知られないままでは、国全体で課題を共有し解決する意識を持つことは難しい。


こうした状況の中で、地方に住む人々は「自分たちの声が届かない」という無力感を抱くことが多い。都市部の政策やメディアに振り回され、自分たちの生活や未来が見えなくなっている。それでも、地域社会を支えるために地元の人々が自ら動く姿勢は評価されるべきだが、その努力を支える仕組みが不足しているのが現状だ。


では、地方が抱える問題を解決するにはどうすれば良いのか。一つの方法は、地方の声をもっと社会全体に届ける仕組みを作ることだ。たとえば、地方議会や住民の意見を国政に反映させる制度を強化する。地方の課題を解決するための政策を、都市部だけでなく全国的に議論することが必要だ。


また、デジタル技術を活用することで、地方の可能性を広げることができる。リモートワークやオンライン教育を推進することで、都市部に住む必要性を減らし、地方でも生活しやすい環境を整えることができる。さらに、地方の特産品や観光資源を活用したプロモーションを通じて、地方経済を活性化させる取り組みも重要だ。


もう一つは、地方が自ら未来を切り開く力を持つことだ。外部からの支援だけに頼るのではなく、地域ごとの特性や資源を活かした取り組みを進めることが求められる。そのためには、若者や移住者を地域に呼び込み、彼らが活躍できる場を提供することが鍵となる。


忘れ去られる地方の声は、私たち全員が抱える課題だ。地方が元気を取り戻すことは、日本全体の未来に直結している。地方と都市が手を取り合い、互いに支え合う社会を築くために、私たちはもっと地方に目を向け、その声を聞く姿勢を持つべきではないだろうか。それが、国全体の活力を取り戻す第一歩になるはずだ。

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