第6話
第六話「奴隷天国」
私たちは王都近くで一番のスラム街と言われているメリルガに到着したのだった‥
「おい、お前ら!!」
「ヒィッ…」
「みない顔だなぁ…ククッ」
あからさまに盗賊っぽい見た目の人がいっぱいです。
「俺達はあんたらに危害を加える気はない。」
「そうかい…でも俺らがお前らに…」
「その時は俺がゆるさねぇ。」
「ククッ面白い男だ。」
本当は最初に1人でここに来るべきだったのかもしれない。
ここは誘拐や拉致も多くアイリスなんて可愛い子は何されるか…
「は、はい…本当にこの先に美味しいパン屋さんが‥」
「っっっておい!そんな分かりやすい手に乗るな!アイリス!」
「へ?」
「いや、どう考えたって誘拐の手口だろうが!」
「あ、あ、そうなんですね…あの…」
「とりあえず走るぞ!」
分かっては居たが俺たちの事なんか誰も歓迎してないらしい。
「ラモンズさんはあてがあるんですか?」
「とりあえずあってみたい人がいるけどその前に行きたい場所がある。」
数分後、メリルガから少し外れの所に来た。
「ここが俺たちが数日泊まるホテルだよ、とりあえず今日はどれだけ危険な街か見てくるからアイリスは部屋にいてくれ、鍵は俺が持ってくから何があっても自分からは開けない事、それと部屋から1人で出ない事!わかった?」
「は、はい!怖いので一歩も出る気は無いです!」
「数日ここにいるし安全な所は一緒に回ろう!」
「分かりました、あの…」
「どうした?」
「いえ‥」
「じゃあ行ってくる!」
ギュッ
「え???」
突然後ろからハグをされた。
「どどどうしたの?」
「おまじないです。」
その後何か小声で言って聞き取る事が出来なかった。
.
.
.
今日一日中メリルガの色々な所を調べてみたが握手してくれるような人はもちろん居ないしクセの強さで言えばみんながクセが強いのでなかなかに見つける事が難しかった。
まあ占い師に言われた方角がこっちってだけだからアイリスのようにそう簡単には見つける事が出来ない。
それにしても夜は不気味なぐらいに静かで、綺麗な満月に見惚れてしまう程だった。
「くだらねえ」
誰かの声が聞こえた気がした、そうして後ろを振り向くと全身を布で隠し目だけが見えた人が居た。
「ど、どーも‥」
外見だけで言えば背も低く女性が子供だろう。
「ジロジロみないでくれます?」
「あ、あの…」
なぜか分からないが声をかけてしまった。
「なんですか、くだらねえと呟いて醒めたつらして歩きたい気分なんですよ」
なんか変な人だなと思った。
しかし、次の瞬間。
「すいません、旅人さん。スティール…」
そう言って俺の方に突っ込んできた。
「うわ!」
「それでは…」
あまりのスピードに反応できなかった。
「なんか変な子だったなぁ…ってあれ??俺の財布が…ない…」
夜な夜な歩く怪しい人なんてこの街では…
「クソっ盗賊か!!」
辺りを走り回って探してみた。
「おい!どこだっ!!」
相手も中々のプロなのだろうそう簡単には見つからなかった。
「ま、まあ俺らはその日くらしだから対してお金も入ってないから別に良いけどさ!!」
全力の強がりをして銀貨7枚も盗まれた俺はその日、宿に帰った。
.
.
.
「おかえなさ…ってどうしたんですか!ラモンズさん…」
「ごめんよ…アイリス、俺は弱い‥」
そうして財布が盗られてしまった事を説明した。
「大丈夫ですよ!お金はそもそも宿に9割ぐらいは置いてあったんですし!」
「いや、それでも大事な銀貨が…」
「そんな事より怪我がなくて良かったです!私の防御魔法が少しは役に立ちましたかね?」
「まさか、今日行く前になんか言ってたのって!」
「は、はい…恥ずかしながら防御とスタミナ強増魔法を少しかけさせていただきました。何もしないって訳にもいかないので。」
だから一日中歩き回っても全く疲れ無しだったのか…
「ありがとう、アイリス。おかげで捜索が進んだよ。」
「はい!ちなみに良い人とかって居たんですか?」
「それが思ったより街の中心部は昼も夜もあまり人が居なくてね、ここの宿付近なんかは治安も良くて思ったより普通の街な感じだったな、盗賊団スティール・リフトの手掛かりとかあればもっと捜索出来そうなんだけどね。」
「まあまだ始まったばかりですから焦らずですね。」
「うん、ありがとう。」
明日は昼は2人で街を捜索する事にした。
ただ、俺は財布を盗んだ人のスピードや手際の良さに少し惹かれていたのかもしれない‥
いや、ただ財布を返して欲しいだけかもしれない。
.
.
.
__次の日
「いや〜今日も天気がいいな。」
「そうですね、絶好の外出日和です!!」
「まあ場所が場所だけどな…」
今日は私達2人で捜索する事にしました。
とは言っても手分けするのではなく、スティール・リフトを知っている人を探しつつそこまで害の無さそうな人は手当たり次第握手してステータスを確かめるというだけなんですけどね…
そうして今は優しそうなおばあちゃんに話を聞いている。
「スティール・リフトは知っててもあまりみんな口にしたくないからねぇ…」
「そうですよね、すいません。」
「あなた達はなぜスティール・リフトを探してるんだい?」
「俺達冒険をしてるんですよ…」
ラモンズさんは旅の経緯と盗賊で癖のある人を探していると説明した。
「おい!!居たぞー」
「捕まえろ〜」
遠くから怒鳴り声が聞こえた。
「あ、あれは!」
そう言ってラモンズさんは逃げている人を指差した。
ー続くー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます