第49話 組織本部の地下
ドコニとアリシアは捕らえられたミャウを連れ回しながら、地下通路まで降りて行った。 地下通路の中は機械仕掛けの近未来的な研究所のような場所になっていた。
「恐らく、マリエスとか言う組織のボスはこの先に潜んでいる。 通路の何処かに他の敵も潜んでいるから気おつけて行動しろよ。」
通路の先は真っ暗闇で普通の人間の目では奥まで見ることができない。 ドコニも特級とは言え、万能な魔法使いという訳ではないのである。 暗闇の中でいち早く、周りの状況を確認することのできるような魔法は取得していない。
どんな敵が潜んでいるか分からない危険な暗闇の中ではスニーキングして隠れるように進むのが最適だとドコニは考えたのである。
「ドコニさんは敵の不意打ちが来た場合、どの様に対処するかお考えになります?」
「う~ん。 敵の不意打ちは勘で何とかする。 敵が背後から近づいてくる時って、気配感じるじゃん? そういうことだ。」
「……。 あまり、参考になりませんわ。」
ドコニは地面に這いつくばって、くねくねと体を動かしながら通路を進んでいく。 速度もそこそこあり、しゃがみながらゆっくりと歩くアリシアでは追いつくことができない。
「あ……。 あのお方……。 まるで爬虫類のようですわ……。」
ドコニが前に進んでいき、何かに気づいたように体の動きを止める。
ドコニの向く方向は通路の分かれ道がある右側である。
「来るか……。」
ドコニは敵の存在に気づいたらしく、魔力を全身から放ち始めた。
アリシアもドコニの行動を見て、近くに敵がいることに勘づいたため、すぐに戦闘の準備を始める。
ヒュヒュッン――
何かの音が出たと同時にドコニは右側の通路に向って思いっきり飛び掛かるように走って行った。 そして、近くから銃声が聞こえ、男性と思われる人間の声が地下通路の中を響き渡る。
「危ないッ!! 囲まれましたのッ!!」
アリシアもすぐ近くから拳銃を撃とうとする人物がいることに気づいたため、すぐに身体を丸めてしゃがみ込み、自身の使える殺傷能力の高い魔法の弾を殺気を感じたところに撃つ。
「うッ!? やはり、魔法戦士がそこにいるなッ!!」
「今すぐにそこの敵を抹殺せよ!!」
アリシアもドコニも戦闘態勢に入り、暗闇の中で戦いやすいように光属性の魔法を使い、辺りを照らす。
「こっちに大きな光と銃声!! 直ちに武器を構えよッ!!」
地下通路の中にも本部の中核を制圧されまいと抵抗をする構成員がそれなりにおり、中々先には進むことが難しい。
「ぐうぅぅうわわわぁぁああああああああああああああああああああ!!!!」
「なんて強さだッ こいつッ!!」
ドコニの方に集まっている構成員たちは早めに始末されたのか、銃声や悲鳴が鳴り響くのが早い。
「鎌破斬ッ!!」
アリシアも構成員に対抗するように魔動技を使い、敵の身体を真っ二つに切り裂いていく。 敵の方も強い魔動技を所有しており、激戦状態に発展していく。
「どうやらぁ、敵はまだ沢山いるようだぁ。」
ドコニは他の敵の存在を察知したのか、更に右奥の通路にミャウを魔法で連れたまま、ささっと行ってしまった。
「あらぁ。 可愛い後輩を置いて先に進むなんて薄情なお方ですこと……。」
アリシアは死闘を繰り広げている自分をほっといて、次に進むドコニに対して内心怒りの感情を抱いている。
「少しは真面目に戦ってくれると思いましたが……期待するだけ損でしたか……。」
テケテケと少し音を立てながら、魔力によって後からついてくるよう浮かされて運ばれるミャウと共に通路を進んでいくドコニ。 通路の先を進んでいくと、大きな部屋に繋がるエリアがあり、そこには重装備をした魔獣者が何人も立ちふさがっていた。
「おやぁ。 どうやら、この先にこの本部の中枢があるという予感がするぞぉ。」
ドコニはこの先に敵の親玉がいることを確信して、スニーキングをやめ、近くの部屋の付近に隠れる。 まだ、他にも多くの討伐隊が組織の本部に流れ込んできたが、今のところここまで辿り着いたのはどうやら、ドコニだけのようだ。
(ウッシッシッシ……。 このまま行けばわての取り柄全部頂きや……。)
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