第43話

「言えんじゃねえか」




うん、言ってしまった。

顔を上げると不敵に口角を上げている目の前の男。見れば見るほどいい男である。





「名前、教えてくれるか?」





この人と仲良くなりたい、ふとそう思った。





「あたしは一ノ瀬渚」



「渚か。俺は南 響〈ミナミ ヒビキ〉」



「ひ、びき?」



「そ、よろしく渚」




差し出された手を反射的に握る。

と、身体が前に倒れた。



え、なにこれ状況判断出来ないんですけど。





「お前……熱あるよな?」



「へ?」





どうやら身体のいたるところが痛かったのは熱のせいだったらしいです。

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