第20話

「おーい、一ノ瀬さん?一ノ瀬さん?」





「あっ、ごめんなさい」






別の世界に飛んでしまっていたみたいです。

なんて言えば、やっぱり一ノ瀬さんは面白いと矢野さんはまた笑う。




もう矢野さんのツボが分かりません。






「一ノ瀬さんって花言葉、とか詳しい?」





「あ、好きですよ」





「アマリリスの花言葉は?」





「______誇り」







私にとって涼ちゃんの隣にいられることは誇り。だから、アマリリスは涼ちゃんを表すのです。







「そっかー!あたしの姉はね、黒バラが好きなの!黒バラの花言葉は?」





「あなたは、わたしのもの」






あはは、お姉ちゃん独占欲激しい〜!!

なんて笑う彼女の言葉を、随分時が経った頃に思い出すなんて、この時は思いもしなかった。

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