第3話
「おいお前、体に異常はないのか」
驚いたのかその発言に目を丸くしたまま黙ってNo.1を見つめていた。
「怖がらせたらダメだよ、ごめんね?体は大丈夫?」
すかさずNo.2が間に入った。
「問題なしです」
元気な声でその言葉を聞くと黙ってNo.1は離れていった。
「あいつ無愛想なだけで悪いやつじゃないんだ。一週間もいればだいたいわかるだろうけど色々と紹介してあげるよ。じゃあNo.4案内してあげて」
「なんであたしが!」
「女の子同士の方が何かといいのかなと思って。もし気まずいなら君の弟と一緒に、ね?」
「仕方ねーなー、俺が一緒に行って...」
満更でもなさそうに答える言葉を遮るように
「あんたはいい。No.5行くよ」
いつももう1人必要な時は必ず僕が呼ばれる。
みんな個性が強すぎるせいかぶつかることが多いからだ。もちろん拒否権はない。
でも僕も満更でもなかった。いつもは人に頼られることがないからだ。
「わかった、今行くよ」
「よし、じゃあ僕たち残り組は歓迎会の準備をしようか!もちろん手伝ってくれるよね?」
「仕方ねーな、やってやろうじゃん!」
断られて少し落ち込んでいたNo.3もすぐに元気になった。
2人がはしゃいでいるのを尻目に
「短い間だけどね」
ボソッと言った彼女の言葉が少し引っかかっていた。
案内している道中
「ねぇ、あなたたちはここを出ようとは思わないの?」
なんの脈絡もない言葉に僕がどぎまぎしていると続けて
「あなたたちの能力があればどこの国でもやってあげるじゃない?こんな狭い場所に囚われていてもいいの?」
少し棘のあるような言い方にNo.4が
「一度も考えたことがないわけじゃない。他の奴がどう思っているか知らないけど私はこいつらのことを家族のように思っている。思い出もここにある。だから離れない」
普段ツンツンしている姿しか見ないからか少し恥ずかしくなった。
「君はどうなの?」
「僕も同じような理由かな。でも一つ違うのはみんなは凄いけど僕には何もない。だから出ようと思っても出られないよ」
「ふーん、でもまだ生きてるってことは何か特別な力ががあるんじゃない?まだ発現していないだけでさ」
考えたことはあった。
もしかしたらまだ僕も、と。
でも数年経ってもなんの変化もない、流石の僕も諦めていたことだった。
「そうだといいんだけどね」
そう答えるので精一杯だった。
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