第5話 仕組まれた襲撃

保健室に着くと、そのままベットの上で治療を受けることになった。

お腹に出来た傷は赤く腫れあがっており、軽い炎症を起こしている。

武装少女の武装もあちこち壊れており、至る所で肌が露出していた。


「傷口が悪化しないように消毒しますね」


「えぇ」


「つっ!」


消毒液を布で拭かれただけで、激痛が走っている。

アリスさんは手際よく傷口の消毒を終えると、包帯を手に持った。


「包帯を巻きますので、その鎧を脱ぐことはできますか?」


「出来るわ」


私は武装を解除し、普段の服装に戻った。

だがこの時致命的なミスをしてしまう。


「え?この学校の制服?」


アリスさんは一瞬止まったが、疑問を胸に押し込んで治療を再開した。

一通り治療を終えると、案の定制服のことを聞かれてしまった。


「フィー様、もしやあなたはこの学校の生徒なのですか?」


「ち、違うわ!借りただけよ」


「男子生徒の制服をですか?」


「そうよ」


まずい、まずい!このままでは正体がバレてしまうわ!

私は必死に言い訳を考え、答えを何とかひねり出した。


「この学校にあかりっていう生徒がいるでしょ?その子から借りたの」


「あかり・・・もしかして新入生の方ですか?」


「そう!その子は私の親戚なのよ、それでシメン星人が何処で現れてもいいように変装してたの」


「その体系で変装は難しいと思いますが・・・」


アリスさんは女体化して大きく成長した胸を見て言った。


「さらしをしてたんだけどね、変身したら無くなってたわ」


「はぁ・・・」


若干不服そうな顔をしているものの、なんとか嘘の言い訳でごまかした。

その後保健室を出る直前でアリスさんが話しかけてきた。


「フィー様自己紹介が遅れましたが、私はこの学校で生徒会長をしている須藤アリスと申します」


「そう、アリスって言うのね、よろしく」


「はい、この前のことのお礼も含めて今度お食事をしませんか?」


「別にいいわ、私は目の前の怪人を倒したかっただけだから」


「それでもお礼がしたいんです、それに・・・トテモカッコヨカッタノデ///」


「後半よく聞こえなかったけど何を言っていたのかしら?」


「い、いえ!何でもないです!」


そしてアリスさんと共に学校を出ると、外で異変が起きていることに気付いた。

空には3隻の宇宙船が浮かび上がっており、空中で巨大なホログラムを投影している。

ホログラムには人型で女の姿をしたシメン星人が写っていた。

シメン星人は猫なで声を出しながら、話し始める。


「はいは~い、官崎市のみなさんこんにちは~」


「私はロートシュメル将軍、シメン星人の幹部をしているの~」


「私、ブラワーシュメルを倒したっていう武装少女フィーを探してるんだけど~みんな知らない?」


「もし見つけてくれたら、この街を攻撃しないであげるわ」


「あ!隠しても無駄だよ~、武装少女を引き渡すまで10分おきに私の奴隷ちゃんを街に投下するからね~」


「それじゃあ~待ってるよ~」


ロートシュメル将軍がそう言うと、ホログラムは消えてしまった。


「フィー様、あなたは傷を癒すのに専念してください」


「あなたはどうするのよ?」


「私はお父様に駆け寄って、自衛隊の皆さんに応援を要請します」


それからアリスと別れ、私は自宅に帰っていた。

自室にはチャーランがいて、何故か見慣れない大きな斧が壁に立てかけられている。


「あ!あかり無事だったんだね!突然通信装置が途切れたから心配したんだよ」


「えぇ何とかね」


「あかりは外の様子を見たかい?」


「ロードシュメルだっけ?あいつの卑怯な作戦に見事にはまってしまったわ」


「あいつは勝負に勝つために何でもする奴なんだ、この前のブラワーシュメルよりも戦闘能力は低いけど厄介な相手だよ」


「まずは君の傷を回復させてから、シメン星人を倒すための作戦を考えようか」


その後チャーランが持参した装置を付けた。


「武装少女の武装は体内の因子を利用して、戦うためのエネルギーを生み出しているんだ」


「君の今の状態は、シメン星人の攻撃で男性の因子であるM因子が損傷している」


「この装置は君の損傷したM因子を回収して回復させることが出来るんだ」


「前よりも体内のM因子が少なくなるから、長い期間男の状態に戻れなくなるけど、がまんしてほしい」


数十分後、装置を使用して体内のほとんどのM因子を女性の因子であるW因子に交換し、チャーランが作成した回復装置で損傷を受けた武装がすべて元通りになった。

すぐさま出撃をしようとするとチャーランに呼び止められた。


「ちょっと待ってよあかり」


「ん?どうしたのよ」


「この武装を持っていくといいよ」


「これは?」


チャーランに渡されたのは、部屋の壁に立てかけられていた斧だった。


「これは武装少女フィーだけが扱える戦斧ミノタウロス」


「君が前に倒したブラワーシュメル将軍の斧を武装少女用に改造したものなんだ」


「まだテストもしていない試作品だけど、この武器が君の力を最大限に引き出してくれるはずだよ」


そしてロードシュメル将軍を討伐するために、空に浮かぶ宇宙船を目指した。

街にはすでにメチロン種のシメン星人が数十体規模で投下されている。

自衛隊や警察が協力して必死に抑え込んでいるものの、住民が避難している避難場所前の防衛線は崩壊寸前だった。

現場にいた自衛隊員達がぼそりと愚痴をこぼしている。


「くそ!どれだけ弾を打ってもバリアが突破できない!あいつに撃ったのはロケットランチャーだぞ!?」


「そりゃそうさ!アリスさんの言うには、あのバリアは今のところ武装少女の一撃でしか突破できていないらしいからな!」


「幸いあいつらはバリアを展開しているときはほとんど移動できないらしい、今は少しでも足止めすることだけを考えるんだ!」


私は苦戦する自衛隊員達に近づいた。


「苦戦しているようね・・・どいて、あとは私がやるわ」


「もしやあなたは武装少女ですか!?それにその大きな斧は・・・」


自衛隊員の言葉を遮り、私は目の前のメチロン種に向かって突進した。

そして戦斧をメチロン種に目掛けて頭上から振り下ろす。

するとバキッという音を立てて、まるで紙切れを切るかのようにバリアを破壊した。

戦斧はそのまま勢いよくメチロン種の体を引き裂く。


「あが!バカ、な・・・」


切り伏せられたメチロン種はその場に倒れこみ、灰となって消えてしまった。


「ぐ!貴様が武装少女か!?」


「まさかバリアが一瞬で突破されるなんて・・・」


目の前で起こった衝撃的な出来事に対して、残りのメチロン種たちはひるんでいる。

この場にいる残りのメチロン種は2匹、私は再び戦斧を持ち替え戦闘態勢に入った。


「さあて、楽しいパーティを始めるわよ!」


それから私は次々とメチロン種を戦斧で倒していった。

どうやら戦斧には武装少女のエネルギーを込めることで、攻撃の威力を高めることが出来るらしい。以前まで全力で殴らなければ壊れなかったメチロン種のバリアがこの戦斧の前では機能していないも同然だった。

ついに宇宙船から投下されたメチロン種を殲滅すると、空に浮かんでいた宇宙船に向けて狙いを定めた。

だがここで大きな問題に直面する。


「こういう時遠距離攻撃できないのは不便ね」


武装少女フィーはあくまで近距離特化型であり、空に浮かぶ宇宙船を破壊する攻撃手段は持ち合わせていない。

奥の手であるアピスを使う方法もあるが、たった一発で全エネルギーを消費するためすぐに戦えなくなってしまうだろう。

その時ふと建物のがれきが目に入った。


「これなら・・・」


私は瓦礫を宙に投げると、戦斧の刃が付いていない部分で瓦礫をフルスイングをした。瓦礫は恐ろしい勢いで宇宙船に飛んでいき、爆発音のような大きな音を立てて激突する。


「よし!このままどんどん行くわ!」


私は瓦礫フルスイング作戦で、宇宙船を破壊していった。

やがて2隻の宇宙船が飛行能力を失い、そのまま地面に落下する。


「あとはロードシュメルがいる旗艦だけね」


残ったのは街を襲った宇宙船の中で一周り大きな宇宙船である。

あの宇宙船だけはバリアのようなものではばまれていて瓦礫が一切当たらなかった。


「さてあの宇宙船に乗り込むにはどうしたらいいのかしら・・・」


瓦礫が当たらないのなら、あとは直接乗り込んで敵を倒すしかない。

だが飛行能力を持たない私は、宇宙船を眺めながらその場で立ち尽くすだけだった。

すると空からアリスさんの声が聞こえる。


「フィーさん!乗ってください!」


アリスさんはヘリコプターに乗りながら手を振っていた。

私はその場で数十メートル空中に飛び上がり、ヘリコプターに飛び乗った。


「アリス、無事だったのね」


「はい!フィーさんも街を守っていただきありがとうございました」


「喜ぶのはまだ早いわよ」


私は目の前で悠々と浮かんでいる敵の旗艦に指を指した。


「そうですね、このヘリコプターでフィーさんをあの宇宙船の上まで運びます!」


「大丈夫なの?あの宇宙船から攻撃されるかもしれないのに」


「大丈夫です、実はチャーランと名乗る人物からメチロン星人が使っていたものを改良したバリア装置をお借りしました」


「あいつ、そんなものを作っていたのね」


「はい、これを使ってあの宇宙船に近づきます!」


そして宇宙船に搭載された対空砲による妨害はあったものの、宣言通り私を宇宙船の頭上まで運ぶことに成功した。


「それではフィーさん、あとはお願いします!」


「任せなさい!」


私はヘリコプターから宇宙船に飛び乗り、宇宙船の出入り口と思われる場所を見つけた。

これからこの戦いの最終決戦が始まろうとしている。




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