「『好き』って言ってよ」
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『もっ……もしもし……!!
ナギくん、配信お疲れさまです!!!』
『おー。
テンションあがってんね、ハルちゃん』
『だって……そりゃ……!!だって……!!』
『はは。
見たんやろ?公式の投稿』
『あ……当たり前じゃないですか!!
こっちはもう、世界大会終わってから
ずっとソワソワしてたんですよ……!
早く知りたいような……
でもまだ知りたくような……。
そんな両極端な感情が、行ったり来たりで!!』
『んで?実際見て、どうやった?
発表された、今季の
『泣きそう』
『通常運転やなー』
『だって、ほんとに覚悟してたんです……。
ナギくん含め、誰かは移籍とか……最悪、引退しちゃうかもって……毎日怖くて…………』
『ごめんなー。公式から発表するまで、
言うたらあかん決まりやからさ。
配信でも口滑らさんようにすんの、大変やったわぁ』
『いえ……。
でも、まさか……まさか…………!
また1年間、同じ
嬉しい。本当に嬉しい……!!』
『今季はどのチームも、
大きな変更無かったみたいやなぁ』
『うん。胸撫で下ろしてる人も多いはずですよ。
想像しただけでツラいですもん。
この前まで"家族"同然だと思ってたメンバーが、
移籍によって突然"ライバル"になって戦うなんて……。
え?どんな情緒で観ろと?』
『まぁなぁ』
『それに……考えたくもないですけど……。
万が一、引退なんてしちゃったら……!
……もう姿を見ることすら、叶わないかもしれない。
そう、まさに!!"推しは推せる時に推せ"!!』
『やー、実はほんまにさ。
前シーズンで引退って言うてるメンバー、おってんよなぁ。将来のこともあるし。
でも……決勝で"ギリギリ"勝ったってのが、逆に悔しかったって。
もっかい、今度は快勝で世界を獲りたいんやってさ』
『え、鳥肌。
もう、みんな本当……ストイックでかっこいいんだから……!!
おかげで……今年も生きていける……っ!!!』
『俺らは、ハルちゃんの生き甲斐ってこと?』
『はい!!!もちろん!!!!
なんなら、命そのものかもしれません』
『…………それだけ?』
『え……足りませんか?』
『そやなくて』
『ええ??じゃあ、どういう質問???』
『……ハルちゃんの生き甲斐に、"俺"は入ってないの?』
『え……今更、何を……??
そんなの決まってるじゃないですか。
ナギくんありきで、今のチームが大好きって話を——』
『——"彼氏"としての俺は?』
『…………………カレシ?』
『ひどいよなー、ハルちゃん。
せっかく両想いになれたってゆーのにさぁ』
『え、すみません。どこの世界線での話ですか?
記憶が改ざんされている?』
『俺に"会いたい"とも言うてくれへんし』
『い、言うわけないじゃないですか!!』
『キスまでしといて?』
『!!!!
そ、そそそれはナギくんが強引に……っ!!』
『いやいや。
本気で嫌がるんならヤメとくつもりやったんやけど。
でもハルちゃん、あん時めっちゃ可愛い顔しとったやん』
『なっ………………顔!?』
『むしろ褒めてほしいわ。
それ以上は抑えられた俺をさぁ』
『ちょ…………ほんと、一歩間違ったら有罪級ですよ。
ナギくんだから許されてるだけで……』
『へぇ。許されてるんや?俺』
『ちがっ……!
し、しまった……今のナシっ……!』
『てか、そんなんわかってるよ。
誰にでもするワケないし。
ハルちゃんがいつまでも素直にならんから、
こんなことになってるんやん』
『っ……………………』
『ほんまにさぁ、そろそろ言うてくれへん?』
『な…………何を…………』
『"俺のこと好き"って』
『…………………………』
『あ、待って。
言おうとしてくれてるとこでゴメンなんやけど、
やっぱ電話はイヤやわ』
『いや、そんなつもりなかったんですけど』
『ハルちゃん、明日仕事休みよなぁ?
そっち行っていい?
まぁ、ハルちゃんがこっち来てもいーけど』
『え……いや……あの…………』
『ほんでさ。
この前みたいに、一緒にアーカイブ鑑賞会しよ』
『っえ?
ああ……なんだ。それならいいですよ』
『言うたで?』
『…………アーカイブ観て研究するだけですよね?』
『いやー。
俺らのプレー見てるハルちゃんの顔、キラッキラしててめっちゃ可愛いねんよなぁ。
普段は画面越しで見れへん分、いっぱい眺めときたいからさ』
『……………………』
『あ、先に言うとくけど。
明日は俺、我慢できんかもしれんから。よろしく』
『!!?!
………やっぱり画面越しだけで、十分です……っ!』
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