其の七 エミと赤ん坊

 夢見ちゃった。


 風鈴が私におちょけ顔をして、お兄ちゃんからもらった手紙をポケットにしまって。彼女の名前を呼ぼうと思ったけど、声がふわんと消えてしまって、喉に何かがつまってるみたい。真っ白な枕が土みたいに変わって、髪が木の根みたいになって、その土地にぐいぐいと根を張っちゃって。ベッドから動こうとしても、なんか体がぜんぜん動かない。風鈴が窓のとこまで走って、そっと窓辺に立って、それから一回りしてジャンプしたのを目撃しちゃった。彼女の体からはカラスの羽が生えていて、ピューって翼を広げて、高い声で鳴いていた。


 どこに行くのかな?まずは待ってよ。いつか行っちゃうのはわかっているけど、今はちょっと待ってね。


 「薄桜城に行って、手紙を届けるんだ。」


 カラスの返事を聞いて、なんかスッキリしちゃった気分。ベッドから起き上がって、あくびしてみたり。目をこすって、ベッドからおりて、服を着て、窓をしめた。


 でも、なんか変な気がするんだよね。そう、なんか違うはず。


 こうじゃないはずだよね。思い出した、私、まだお兄ちゃんに返事してないんだ。


 だから、待って──


 風鈴、黙っている。真っ黒な羽がふわりと彼女から零れ、すぐに黒い雪に変わった。狂ったような風が吹き荒れ、黒い嵐が村をかき乱した。私がどんなに叫んでも、あの少女はただ大声でクスクス笑っているばかり。彼女の姿、灰色の霧の中ますますぼんやりとしてきた。


 絶望の中、銀色の光がキラキラと輝き出し、小さな寝室を照らし始めた。杖を手に取り、高々と持ち上げて、風鈴の後ろ姿に向かって力強く投げ飛ばした。


 硬い杖がガラスを突き破り、砕けたガラスは白い羽根に変わり、地面にポツポツと散った。その後、杖は流れ星のように、風鈴の体にドーンとぶつかった。彼女は苦しそうに鳴いて、急速に地面へと落ちていった。


 やった!これで大丈夫。私は慌てて階下へ駆け降り、庭へと飛び出した。


 黒い嵐はもう収まり、世界はまた清らかな白に戻った。厚い雪の上に、少女と手紙はもうどこかへ消えてしまった。ただ、優雅に揺れる白鈴花だけが残ってた。花たちの歌声が聞こえるかのように、目を閉じて、そして再び開いた。


 その瞬間、世界は白い花の海へと変わった。その花海の中心には、低い墓石がそびえていた。墓石には何かが刻まれているけれど、私には何も見えなかった。その後ろから、紫の少女が現れて、優しく手で私の目を覆ってくれた。もともと灰色でぼんやりしていた世界は、再び無限の暗闇に包まれた。




 目を開けて、ベッドから起き上がる。壁にかけられた時計を見ようとして、必死に見つめるけど、やっぱりよく見えない。でもその時、時計が鳴り出した。


 ドン、ドン、ドン、ドン。


 四時?見た感じ午後だよね、夜中じゃない。でも、ちょっと寝過ごしたかな。


 あくびをして、そして目を閉じて、深呼吸。世界を静かにして、心に集中して感じる。皮膚の隅々まで、空気の微妙な違いを捉えようとする。


 うーん、何もないな。どうやら窓外の雪は止んでしまったみたい。


 雪って言えば......ベッドシーツがびしょびしょで、まるで海に投げ込まれたみたい。明らかに、それは私の上で死んだ雪の死体。部屋中が真っ白で、床にはもう薄っすらとした白い絨毯が敷かれていた。眠っている間に、ここは白雪の軍団に占拠されてしまったみたい。今、私の寝室はまるで探検隊が夜に仮設キャンプを張るような、荒々しさと混沌とで満ち溢れている。まったく花の季節の少女の部屋とは思えない。でも、もしかしたらこのような異常こそが私のスタイルなのかもしれない。


 寝室で雪を楽しむ時間はない。そう長くはもたない、すぐに全てが死んで、冷たい水たまりに変わるでしょう。私は、この壮大な白い葬儀に参加する経験はないと思う。


 窓を閉めて、服を着て、そしてベッドからおりる。なんでも順調で、夢の中でうっとうしいカラスや風鈴の音もない。現実っていつも安心させてくれるんだよね。


 リビングに降りてみると、テーブルの上に二通の手紙があった。一通はお兄ちゃんからの手紙だと思うの、お兄ちゃんはいつも月に一度、手紙を書いてくれるんだ。だから、もう一通は一体何なんでしょうかな。今月は特別なの?お兄ちゃんが本当に二通手紙を書いて、大きなサプライズを用意してくれたの?うーん、ワクワクしてくるね。


 手当たり次第に一通を掴んで、目を丸くして文字をじっくり見る。うん、ちょっとがっかりだけど、これは手紙じゃなくて、ただの一枚の紙に書かれた文字だった。


 「今日は部活がお休み。篠木家に行って、無生を見舞う。五時に帰る。――風鈴。」


 ああ、これは風鈴が置いていったメモね。だったら、やっぱりここに彼女はいない。風鈴は私よりも元気だから、彼女を一日中家で待たせておくなんて、きっと退屈させちゃう。部活がお休みだったのに、篠木さんの家に行くって、どういうこと?ま、いいよ。風鈴も探偵の一員だから、調査を好きなら、彼女に任せればいいの。じゃあ、まずはお兄ちゃんの手紙をちゃんと読まなきゃ。ちょっと待って、この緑色の葉っぱは?


 慎重にそれを取り上げて、そっとつまんでみて、そして鼻で匂いを嗅いでみる。


 ええと、なんだかすごくいい香りがする。正確に言うと、香りというよりは、存在感があるって感じ?つまり、「生命の息吹」だ。うん、そのように表現すべきだ。風花湾には、そんな特別な匂いはないみたい。雪山の霧松のような長くて硬い針のような葉?時間海から漂う魚の腐った臭いの海草?とにかく、それらの形はこの美しい葉っぱには及ばないね。


 寝室に戻って、棚から小さな木箱を取り出した。これがこの葉っぱの家。


 枯れた黄ばんだ葉っぱ、腐った黒い桜の花びら、茶色の羽、つるつるの川の石......そう、ここにはお兄ちゃんが毎月送ってくれるプレゼントがしまっている。


 それらを見て、思わずため息が出ちゃった。死んでしまったものたちが、なお美しい死の姿を保っているのに対して、生きていたものたちは死んでしまうと、あんなにみすぼらしい姿に変わってしまう。生命の美しさは、本当に壊れやすくて短命だ。私の手に握っているこの小さな葉っぱ、いつかは死んだ葉っぱや花びらたちと同じようになってしまうのかな。


 そう言えば、私ってお兄ちゃんよりも駄目かも。せめて、この羽根や石なんかは、送られてきたときと同じままなのに。でも私がお兄ちゃんに送ったあの白鈴花の花びら、もう全部腐ってしまったかもしれない。もしお兄ちゃんも私と同じように送られてきたものを全部しまっていたら、彼の小さな木箱はもっと悲惨な状態なのかもね。


 しょうがないよね。他に何を送ればいいか、全然分からない。これは毎月、お返事とプレゼントの準備をするときに考える問題。カラスの羽根?なんだかあんまり縁起がよくないみたい。雪は溶けちゃうし、プレゼントにはならない。霧松の葉は見た目もひどいし。凍った魚は重すぎるし、韋駄天は絶対運べないと思う。桟橋の石は厚い雪で埋まってて、同じく見た目もひどいし......これらのアイデア全部否定、残されたのは唯一の選択肢は、うーん......やっぱりこの花びらかな。


 仕方ない、風花湾は本当に寂しい場所だもの。だから今月のお返しも、やっぱり白鈴花の花びらでしょうね。ごめんね、お兄ちゃん。


 じゃあ、まずはお兄ちゃんの手紙を見てみよう。我慢するよエミ、まだ時期じゃないもん。まずは夢のお告げ通り、昔からの場所、つまり雪山の墓場に行って、白鈴花を摘もう。そして戻ってきたら、手紙をじっくり読んで、真剣にお返事を用意しなきゃ。


 いいよ、それで行こう。早く外に出したい、家の中はまだ暑すぎるから。速く行けば、五時までには戻れるはず。そうすれば、家に帰った時に風鈴が私を見つけられなくて困惑することもないかもね。




 外に出ると、屋根の上のカラスたちが相変わらず私に挨拶してくれて、私は手を振って応える。なんだかいつもと雰囲気が違う気がするけど、まあ気にしないことにする。時間を大切にして、早く雪山に行かなきゃ。


 雪山は白雪村の東南にあるから、西側の海岸から行くと結構遠い。白雪村を横断する西から東への大通りが最良のルートなのかもしれないけど、私には関係ない。いつも通り、私は港のそばの松林に向かって、村の端を迂回して雪山に行くつもり。松林の中の道はとても悪い、地面がガタガタで、狭くて暗い。高い霧松からは濃い水蒸気が出てて、世界がぼやけて見える。でも、何度も転んで立ち上がり、何度も木にぶつかっても、今じゃその松林のことはよく知っいてる。


 だれもが無駄なトラブルは嫌い、でも私には他に選択肢がない。とにかく、村の中に入ることはできないし、許されていない。白雪村、かつての故郷、もう私の故郷じゃない。距離はとても近いけど、私たちはどこまでも遠いところにいる。私にはわかる、家がないって。


 たぶん、親が家を港のそば、村の外に建ててくれてよかったのかもしれない。そうでなかったら、今の私の生活、「呪いの子」としての生活を想像することもできなかった。村の人たち、みんなが墨雪家を嫌って、一連の悲劇をすべて親のせいにする。村人たちは、夏の海に出る時に船を操ったのが誰だったか、一時の漁期を充実させたのが誰だったかを忘れてしまった。恐ろしい事故の後、海に巻き込まれて亡くなった両親は、同情や追悼を受けるどころか、悪の元凶として扱われた。


 「呪いの子」って。お兄ちゃんが出ていく前から、村人たちから呪われてたんだけど、出て行った後、私がその毒々しいあだ名を受け継いだ。墨雪家に生きてる限り、災難が止まらないって言うの。だれかが大海に誘われて、そして命を落とす、そんなことが起こるって。村長の助けのおかげで、私の家は取り壊されずにすんだし、風花湾から追い出されなかった。この荒れ果てた世界の中で、私にとっては生きているためのちょっとした静かな場所があるんだ。


 たぶん人々は私を大層見てるのかもしれないけど、私は時間の神の意志を代表することはできない。村長が言うように、人々は欲望を捨てられない。「時間神の秘宝」という嘘のために神を冒涜して、神の制裁によって命を落とした。彼らを恨むことも、嘲笑することもないし、同情することもない。もし誰かが神すら冒涜する勇気を持っているなら、墨雪家への非難や責め責めも、予測がつかないことではないかもしれない。


 話してみたら、海の中に本当に宝物があっても、それが命より大事だなんて思わない。九十七の命、九十七。両親を除いて、他の命、本当に全部を墨雪家のせいにするの?時々、私、なんか変な感じになっちゃう。生命の重さが重たく感じたり、時には虚無に感じたりすることがある。私自身も、だんだんと麻痺していくような気がしてきた。


 村長じいさん、探偵団のみんな......それにほんの少しの人たちが、私の暗い世界にちょっとした希望をくれた。他には誰がいるのかしら?いつ、すべてが突然変わったことに気づくのかしら?もしかして、紫の少女が飛行船から飛び降りた瞬間から、運命は変わり始めたのかもしれない。もしかしたら世界を巡る旅人たちが、本当に探偵団のみんなと一緒に、白雪村のすべての真実を見つけることができるのかもしれない。私は信じている。


 はい。その日を待ち望んでいる、あまりにも長い間待っている。


 思いを現実に戻すと、目の前にはすでに墓場があった。でも、墓場って言っても、実際には雪山の裏側にある広い空き地の一部だけだ。そこには数十もの低い四角い石碑が立ってて、その周りには咲き乱れる白鈴花の花畑が広がってた。


 白い花が雪の中に隠れてて、私はしゃがんで手で触ってみないと、本当にそこにあるのか確認できなかった。村長が言ってたけど、数十年間、このお墓で白鈴花がずっと咲き続けてて、まるでここが守護神の住処みたいだった。誰も手入れしてないのに、それでも彼らはすごく元気に育ってるみたい。まるで風花湾のどこに行っても、こんなに美しい花を見ることができるのはここだけなんだって。


 お墓が嫌いってわけじゃなくて、むしろここはなんだか親しみを感じるの。だって、ずっと誰かが世話をしているって知っているから。そう、墓碑の下で眠ってる人たち、それは村の人々の魂なんだ。見えないし触れることもできないけど、善良な村の人々が亡くなっても、魂になって白雪村を守ってくれるって信じている。そういう敬虔な人たちだから、自然と神の加護を受けた。海に飲み込まれず、だから自分たちの人生を安心して終え、この静かな墓場で安らかに眠っている。


 でも、村長の言うとおり、ここ数年、墓場はだんだんと荒れてきてるんだって。今の白雪村では、死を受け入れることがとても難しいことになってる。ここの魂たちも、たぶん戸惑ったり、悲しんだりしているかもしれないね。なんでかつての仲間たちが、ここで自分たちと再会しなかったのかって。彼らの呼びかけを聞く人はいないけど、ただ白鈴花が静かに咲き誇ってるだけだ。


 白鈴花の細い茎を指でつまんで、そっと持ち上げると、弱々しい根が土から出てきた。私、一輪の花を殺しちゃった。家に帰ると、五輪摘んで、一番きれいな花びらをお兄ちゃんにあげる。それが、後でやること。ここにいる魂たち、きっと私が可愛い花たちを傷つけたことなんて許してくれる。ひょっとしたら、私がここに来るのを喜んでくれるかもしれないし。今は、たぶん私しか月に一度ここに花を摘みに来ない。でも、これで孤独な霊魂たちに会いに行く、彼らの長くて退屈な生活に少し楽しみをもたらせることができるかもしれない。


 では、お邪魔しました。さようなら。


 墓場から出るとき、そっとお辞儀をして、ここにいるみんなにさよならを言った。いつも通り、耳に心地よい鈴の音が聞こえてきた。それは、きっと魂たちからの返事だ。キンキンとした音はどこから来るのかわからないけど、それでもとっても美しいんだ。まるで彼岸からの歌声のようだ。


 お山から下りたら、もう夕暮れ時。でも、まだ風花湾は完全に闇に包まれていない。私にとっては良いニュースだ、自分の任務をちゃんと果たせたってこと、今家に帰って待つことができる。もしかしたら、すぐに帰りの風鈴が聞こえるかもしれないし。


 村では既に灯りがついていて、焼き魚のいい匂いが漂っている。賑やかな声も聞こえるし、一日の仕事が終わって、村人たちはゆったりとした話題で楽しくおしゃべりしている。でも、私には関係ない。最終的には暗い松林の中に戻らなくちゃいけない。霧に包まれて、見えなくなるまで。


 家の前に着いたら、ちょうど通りかかる少女に出会った。彼女の表情は見えなかったけど、息遣いが聞こえた。その息遣いがちょっと急いでいるようで、きっと私と同じように、急いで家に戻ってきたのかな。屋根の上にいるカラスたちも、喜んでさえずり始めた。私と風鈴が同時にここに戻ってきたことを祝っているみたいだ。


 「エミ、こんばんは。あれ、白鈴花!」


 私は頷いて、返事をしようとしたけど、その瞬間、突然吐き気を感じた。口から出そうとしていた言葉が、喉に詰まって動けなくなった。


 こんな異常な感じ、私自身もびっくりしている。この感じの源が、目の前の少女ではなく、他の何かなのかな?カラスたち?でも、彼らはいつも私の家の屋根の上で鳴いているし、今日なんでこんなに違和感を感じるの?そういえば、家を出るときにも、同じような感じがした気がする。


 「あれ、なんでそんなに驚いてる?」


 私も分からない。


 「そうか。じゃ、これらの白鈴花、どこから来たの?」


 少女が私のそばに来て、肩をポンと叩いた。おそらく彼女はこの花を見たことがない。だから興味津々なのね。花束を渡して、彼女はそれを注意深く見つめた。


 もしかしたら、風鈴に墓場の話を詳しく教えてあげるべきかもしれないけど、私の心はもうそこにない。その吐き気を感じる感覚が神経を刺激して、他のことに気を取られる余裕がない。一体何なの?何かが私を取り巻いて、こんなにも不快な気持ちにさせるの?


 「墓場?」


 少女が目をパチパチさせながら言った。私は頷いた。彼女はまだ何か言いたそうだったけど、私はつい彼女を中断してしまった。


 赤ん坊!


 無意識の中で得た答えが、声になって、私たちの周りに響き渡った。カラスたちはもう鳴かなくなり、少女が私を疑うように見つめてきた。


 「赤ん坊って......誰?おい、エミ!」


 うん、そうなの。赤ん坊だ。やっと気づいた。彼がどこかにいなくなった。いつもなら今みたいに、他のカラスと一緒に屋根の上で挨拶してくれるのに。でも今日、その混乱と騒音の中で、彼の声が抜け落ちてる。その微細な変化が、私の耳をピリピリさせて、それに気づかせてくれた。


 風鈴が赤ん坊を見たかどうかわからない。その子は太ってて、羽がとても短くて、声がキーキーと高い。成鳥になっても、いつも赤ちゃんみたいな感じだから、彼を「赤ん坊」と呼んでる。一番大事なのは、他のカラスと違って、彼の背中には雪のような白い羽が生えてることだ。


 「あっ......」


 風鈴が目を見開いて私を見つめてる。彼女も何かを思い出そうとしてるみたい。


 「赤ん坊か。寒鴉のこと?あそこにいるよ、ほら。」


 風鈴が手を振ると、家の横の窓台からカラスが飛んできて、手のひらに止まった。まるでダンサーみたいに一回転し、羽根をじっくりと整え始めた。私の疑問を晴らすために、彼は特に背中を私に向けて、背中の白い羽を軽く振ってみせた。その後、首を伸ばして大声で鳴いた。


 「ガー!」


 すごく尖った声だったけど、私は一瞬でリラックスした。彼の名前を呼びかけると、彼は頷いて、風鈴の手から飛び立って、屋根に飛び乗って、他のカラスたちと遊び始めた。


 たぶん、赤ん坊はただ遊んでいて、私のことに気づかなかったのかもしれない。とにかく、この騒ぎはただの心配ごとだったみたい。それに、風鈴と友達になれたってことも、とっても嬉しい。


 じゃあ、もう安心して家に帰れる。焼き魚の作り方も風鈴に教えたし、今日の夕食は彼女に頼めばいい。私は部屋に戻って、返事を書いたり、プレゼントを選んだりしなきゃ。そして韋駄天に手紙を薄桜城まで届けてもらわなくちゃ。


 「あの、エミ。白鈴花のこと、やっぱり......」


 はいはい、風鈴は本当にこれらの花に興味があるみたい、しょうがないね。じゃあ、今晩のプランに一つ追加しよう。もし風鈴が美味しい焼き魚を作ったら、私は墓場の白鈴花の物語を彼女にしっかりと教えよう。


 それは、魂を守る、山の頂上に立つ、花たちの物語。

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