過激になりつつある義母さん
義母さんの様子がおかしい。
……まあ、初めて親父に紹介された時から、距離の縮め方がおかしかったから、ちょっと変わった人だと気付いてはいたが、最近は更に輪をかけておかしくなってきた。
「まーくん、これはどうだ? 似合うか?」
「いや…… 似合うも何も、後ろなんかほぼ紐じゃん……」
「ふふふっ、これは有料の中でも高めに値段を設定して販売するための衣装だよ」
衣装って言ってるけど、それ…… いわゆるマイクロビキニってやつじゃん!! 前も前でギリギリ隠れるくらいだし、なんだったら胸に付けてる、流星みたいな二つの大きめなシールが見えちゃってるよ?
只でさえ大きめなシールじゃないと隠せないのにマイクロビキニなんて…… しかもいつの間にか義母さんの秘境にあった密林が綺麗に伐採されて更地になってるし…… 俺の心配していた方向へと舵を切っているんじゃないか?
「たっぷりじっくり見て、まーくんが一番綺麗だと思うお母さんを撮ってくれ、ふふふっ……」
あと、なんか販売目的というより…… 俺に見せ付けているようにも感じる。
そして撮影が終わると、少し息が荒くなり、顔を赤らめた義母さんが近付いてきて…… アンテナの確認のため、即点検作業に入ることが多くなった。
「んふっ、今日も通信状態は良さそうね…… うん、これならすぐに送信出来ちゃいそうだ…… ルーターも問題なし、こんなバリバリの5Gで送信されたら、光の速さで受信しちゃいそう」
何を言ってるんだ? 受信はマズいだろ、そんな契約は出来ないよ。
「あぁん、こんな強そうな電波を飛ばされちゃったら、お母さん…… すぐにプロバイダ契約しちゃいそうだ! ふふふっ」
こ、恐い事言うなよ、違法ではないが義理とはいえ親子でプロバイダ契約なんて……
「いほぉっ? おほぉっ! じゃなくて?」
違法だよ、い・ほ・う!! ……わざと間違えてるだろ!
「お母さんには分からないなぁ…… でも間違ったっていいんだ? 答えが分かるまでお母さんがじーっくりマンツーマンで教えてあ・げ・る!」
急に先生みたいな事を言い出すな! って、義母さんは元先生だったな…… ああっ!? ちょ、ちょっと! アンテナをどこに設置しようとしているんだ! そこは親子では立入禁止区域だから! その間違いは許されないぞ!?
「大丈夫、私、お母さんだから…… お母さんの領域で、たーっぷり展開してもいいんだぞ……」
それはダメ! ゼッタイ!
「まーくんのケチ! こんなギガが残ってるんだから少しくらいお母さんにおすそ分けしてくれてもいいじゃないか! 家族なんだからシェアしよう? なっ?」
そのギガをシェアして家族が増えたらどうするんだよ!
「そうなったら…… ふふふっ、家が賑やかになるな」
おぉーい!! どさくさに紛れて俺のギガでクリコシするな! ったく……
「ダメダメ、いつも通りなら許すから、ほら……」
「ちぇーっ…… ふふふっ、まーくぅん! ……大好きだよ」
「はいはい……」
…………
…………
こんな感じで、衣装がどんどん過激になるにつれ、義母さんの通信状態の確認も過激になってきた。
まさか義母さんが見られて興奮するタイプだったとは…… 本当に教師をしていた時に目覚めなくて良かったよ。
撮影終わりの疲れかアンテナ確認作業での疲れかは分からないが、隣で幸せそうに眠る義母さんを見て、俺は大きくため息をついた。
元々距離感はバグっていたが、更に拍車をかけるようにおかしくなってきたし、それに比例するように欲望にも忠実になってきた。
Pow Sans《ポゥサンズ》での売上が好調で、結構な金額が収入があり、借金返済の不安が少し解消されたのも大きいと思う。
そして予想通り、売上が伸びたのは過激になってきたせいでもあるから…… この先が恐い。
販売目的の動画も内容が露出が多い格好であれこれするという、いかにも…… という道を辿りつつある。
その行き着く先には…… エッな事をしている様子を撮影するまで行ってしまうのでは? とかなり心配になってきた。
義母さんは『まーくんが悲しむからそんな事しない』とは言ってたけど、あまり売上が伸びなくなってきたら…… やると言い出しそうで恐いんだ。
そして最後には……
『ああっ、あなたぁ、ごめんなさい! まーくん、こんなお母さん見ないでくれぇ……』
と、見知らぬ男とネット回線の契約をしちゃったり…… そんな義母さんを見たくない!
「んふふぅ…… まぁくぅん……」
だからギリギリでも義母さんを俺が満足させないと! と義母さんの望むがまま色々とメンテナンスをしているのだが……
俺、頑張り方を間違えたかな?
ベタベタしてくるのはいつも通りだが、親子というより…… 恋人みたいに甘えてくるんだよ。
「んぅ…… まーくん? ふふっ、おはよう…… んんっ、腕枕ぁ……」
「おはよう…… ちょっとくっつき過ぎ」
「まーくん…… お母さんの事、嫌いなのか?」
「いや、そんな事はないけど…… ほら、俺、汗かいてるしさ?」
「まーくんの汗なら大丈夫だって…… ふふっ、まーくんの香りがして落ち着くんだ……」
また始まったよ…… 首筋に顔を埋めスンスンスンスン…… くすぐったいから止めて欲しい……
「ペロリッ…… これは…… まーくんの味っ!」
コラッ! 首筋を舐めるんじゃない!
「ふふふっ…… まーくんといると…… 少しも寂しくないな」
ああ…… はいはい……
もう少しだけ、このまま大人しく横になってるか。
義母さんだって…… 親父が死んで寂しいんだもんな。
「すぅー…… はぁぁ…… んっと……」
んっ? 布団の中に潜って何を…… って、おい! それは話が違うぞ!?
「どこかなどこかなぁー? ……あっ、前方に潜水艦発見! 攻撃開始!」
あぁっ、な、何が潜水艦だ! それは潜水艦じゃありません…… どこでそんな変な事を覚えてきたんだ!
「んー? ご近所で流行ってるみたいだぞ? 海戦ごっこ…… んふっ、海戦というより海鮮の味がするけどな……」
海鮮みたいに美味くないし、上手いこと言うな! ……あぅっ!!
「まーくんにはこっちの海鮮をあげる……」
むぐぐっ……
…………
…………
とりあえず義母さんの撮影の手伝いより、俺的にはこっちの方が変態…… じゃなくて大変だよ。
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