親父が残した借金返済のために義母が…… それを見守る俺
ぱぴっぷ
借金返済のため、義母さんが選んだのは……
親父が死んだ。
多額の借金を残して……
「まーくんは心配しなくていい、大丈夫、私…… お母さんだから」
いや『最強だから』みたいな言い方すんな…… あと『お母さん』だから大丈夫とか意味分からないんだけど。
しかし親父のやつ、三千万以上の借金を抱えていたなんて…… 何に使っていたんだ?
「ギャンブルと…… あとは愛人に貢いでいたみたいだな」
はっ? 義母さん、どうしてそんなあっけらかんとしているんだよ!
親父ぃ…… クソ親父だとは思っていたが、ここまでクソだったとは……
「借金はお母さんが何とかするからまーくんは心配しなくていい、だからちゃんと学校に行くんだぞ?」
でもそんな大金、義母さんだけじゃなんとかならないだろ……
「ふふっ、大丈夫だって!」
そう言いながら腰に手を当てて胸を張りながら立つこの女性は、俺の継母である
身長百七十センチの俺よりも背が高く、長い黒髪を後頭部で1本に束ねて眼鏡をかけていて、パッと見た感じは仕事が出来そうなクールな女性っていう雰囲気がある。
親父と結婚するまでは高校で教師をやっていたぐらいだからしっかりしてるのかと思いきや…… その中身はただのポンコツだということを俺は知っている。
二年前、親父が突然再婚するとか言い出して初めて紹介された時の第一印象は、教師だと聞いていたのもあって美人で知的そうな人だなと思ったけど、一緒に暮らし始めてから色々知って、今では中身が既にバレているんだからな!
少し男っぽい口調でしっかりしているようにも見えるがどこか抜けていて、家事全般は大体出来るのだが、掃除をすれば何かを必ずひっくり返すし、料理をすれば一品はとんでもない味付けになるし、洗濯をすれば俺の部屋に義母さんの下着は干すし…… とにかく見ていられないし俺がやった方が早いので、義母さんはいつも俺の指示で手伝いをしてもらっている。
なのに『お母さんだから』と俺を子供扱いして『まーくんは良い子だ』と…… 高校三年にもなる俺をベタベタと過剰過ぎるくらいのスキンシップで甘やかすだけ甘やかしてくる。
そんな義母さんが…… 三千万の借金を一人で返す?
そんなの…… 無理無理MURYYYぃぃぃっ!
「……借金を返すあてはあるのか?」
「…………」
おお、悩んでる悩んでる……
もうさ、相続放棄して家族解散した方がいいんじゃない? これじゃあ親父は義母さんに借金押し付けるために再婚したようなものじゃないか……
はっ!! 親父が義母さんと再婚した理由って…… 親父のやつ、そこまでクズだったのか!?
「今から普通に働くだけじゃ稼ぎが足りないし返済も間に合わない…… 仕方ない、こうなったら身体を売ってでも借金を返すしかないな、でも安心してくれ、まーくんの面倒は私が見るからな!」
「そんな…… 身体を売るなんてやめてくれよ!!」
「ふふっ、お母さんは息子のためになら無敵になれるんだ……」
か、義母さん……
「こういうの初めてで緊張してるんだが…… じゃあ…… 始めるぞ」
義母さん…… やめてくれ……
「上手にできるか分からないが…… メーコ、頑張るから!」
やめろ…… やめてくれぇぇぇーーー!!
「……せーの! はっ、ふっ、ふぅぅん!!」
ああ、義母さんが…… 義母さんが……
ヘンテコな踊りをスマホの画面に向かってし始め出したよ!! 恥ずかしくて見てられないからやめてくれー!
…………
義母さんが借金返済のためにと始めたのは、動画配信アプリ『トゥインクルトゥンク』による動画投稿で、今は記念すべき初投稿となるダンス動画制作のため、ダンス練習をしている様子をライブ配信している。
そして義母さんは『メーコ』という名で活動を始めたのだが、なぜ『メーコ』なのかと聞いてみたら……
『お母さんの名前は萌子だろ? しかし本名で動画投稿をするのは気が引ける…… だから『萌』から草かんむりを取って
という理由らしいが、理由がつまらなすぎて草も生えない…… はっ! だから『メーコ』なのか!! 納得!!
「はぁん! ほっ、あぁん……」
おい義母さん! 変な声を出すな! ……体力がないからもうバテているじゃないか。
マスクをして、ヨレヨレになった俺のお古のTシャツと短パンを着てヘンテコダンスを踊っている義母さん。
休憩のために一旦ダンスを止め、スマホを持つ俺の方に近付いてきて……
「ふぅー! なかなか上手くいったな! 一旦休憩っと…… すまない飲み物飲んでもいいか?」
おい、こっちを見るな! 視聴者が二人しかいないけど配信者ならそっちに聞け! ……俺は今、スマホスタンド役なんだから!
……ていうかスマホスタンドくらい用意しろよ! 義理とはいえ息子になんてもんを見せ付けているんだ!
スタイル抜群だが結婚してから少しムチムチになったという身体で、タコがうねうね動いているみたいな不思議な踊りをして……
しかもつい目がいってしまうのは、ダンスに合わせてバルンバルンと暴れる、義母さんの二つのトゥインクルが音楽に合わせてトゥンクトゥンクと弾んでいるから目のやり場に困る!!
「んぐっ…… んぐっ…… うぅっ、にがぁ……」
それは『濃ぉぉい緑茶』だからな、普通の緑茶より苦く感じるだろう…… だけど汗だくでハァハァしながら言うな、良からぬ妄想をするヤツがいるかもしれないだろ…… って、視聴者が五人に増えたよ。
〖初見です、メーコちゃん、デカッ!〗
〖こりゃメーコというよりモーコだな、チャンネル登録しました〗
〖ごちそうさまです! 高評価しました!〗
…………
「初見さんありがとう、ってコラッ! 私だって身長が大きいのを気にしているんだぞ! 登録ありがとう! モーコ? 名前はメーコで合っているぞ? おおっ、高評価もありがとう! 食事中の視聴者さんもいるんだな、ご飯はよく噛んで食べるんだぞ」
義母さんは色々と間違った返答をしているが、それが視聴者にはウケたみたいで、コメントに草が生え始めた。
おっ、あんなヘンテコダンスで視聴者が二十人を越えた、凄いな。
「じゃあ休憩終了! それじゃあダンスの続きをするから見ていてくれ!」
そして義母さんはまたトゥインクルをバルンバルンと揺らしながらダンス練習を再開し……
「今日はここまでだ! もし良かったらまた視聴してくれたら嬉しい!」
最終的には三十人を越える視聴者が集まり、義母さんの初配信が終了した。
「まーくん、どうだった? ふふん! これで借金の心配をせずに学校に行けるだろ?」
「いや、余計心配になったよ……」
「ははっ! まーくんは相変わらず心配性だな! そんなまーくんには…… うりゃあぁー!」
うわっ! だ、抱きついてくるなー! 今の義母さんは汗だくになってるんだから…… ほら! 俺の服に汗がぁぁ……
「……まーくんはお母さんが絶対に幸せにしてあげるからな」
な、何だよ、急に真面目なトーンで話し始めて……
「よし! とりあえず汗かいたからお風呂に入ろう! 行くぞ、まーくん!」
ちょ、ちょっと! 服を引っ張るなぁぁー!!
そしてその日から、借金を返済するために義母さんは……
身体を張って配信活動で自分を売り、その様子を俺がすぐそばで見守るという生活が始まった。
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