荘子と遥かにさまよって ━━無窮の世界に遊ぶ━━

水泰泩

荘子とは何か?

荘子そうじとは中国思想・哲学の黄金時代とも言われる春秋戦国しゅんじゅうせんごく時代に書かれた哲学の古典です。


中に記されるのは、天と人、道と真人の不可思議な世界。

相対主義や懐疑主義・不可知論のような現在の立場で括ることは不可能な、あまりにも広大な思想世界が広がっています。


その特徴は作中で寓言ぐうげん重言じゅうげん卮言しげんとも言われる、その文体にあります。


寓言ぐうげん ━━他事にことよせて語ることば。寓話。

重言じゅうげん ━━高名な人の口を借りて語ることば。

卮言しげん ━━とらわれのない、自由自在のことば。


他の思想家が堅苦しく、真面目に論舌を戦わせるのを横目に、荘子はユーモア溢れる文で、その独特の世界観をあらわにするのです。

その影響は哲学・思想・宗教を越えて、後世の文学や芸術にも繋がっていきました。


現在残っている文献は、内篇七篇、外篇十五篇、雑篇十一篇の全三十三篇で構成されています。


この素敵な本の作者は、伝統的に荘周という思想家だとされてきました。


しかし内篇以降は内容の統一性がないため、現在では内篇のみが荘周本人の著作だと考えられています。


それでは外篇や雑篇はいらないんじゃないかって?

そんなことはありません。


外篇・雑篇では内篇で示された事柄を、様々な思想、学派の人たちが考察し、発展させています。


「荘子」という文献の世界を垣間見るためには、その全てを見てみる必要があるでしょう。


それでは、荘子と一緒に、遥かな思索の旅に出かけましょう。

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