第8話 初めての魔法

「…二人とも会ったことあるの?」


 ラズはフランとウィリアムの顔交互に見て困惑していた。


「そうねぇ、ウィリアムはね私の………」


「ストーップ。フラン、ダメ。それは、ダメ!」


 フランはウィリアムの顔を見て答えようとした瞬間、ウィリアムがフランの顔の前で手をバツにし口止めをした。


「えー!!!気になる!!」


「ラズ。知っていいことじゃない……。」


 ラズは頬を膨らませウィリアムになんでよぉと泣きついていた。


「あらあら、あのウィリアムがねぇ……」


 フランはウィリアムとラズのことを優しく見つめていた。フランにとって、ウィリアムは唯一気を許せるのだ。なぜなら、フランもまた女神だから。花を司る女神。それがフランなのだ。


「フランー!!ラズに魔法を教えるんだろ!?!?どうにかしてくれよぉ……」


 ウィリアムがフランに助けを求めていた。


「はいはーい、ラズ〜?お花の魔法教えてあげるわぁ!こっちにいらっしゃい?」


「うん!フランからお花の魔法楽しみ!」


 ウィリアムは胸を撫で下ろした。あの、ラズが。満面の笑みで楽しそうに話している。あんなにキラキラした顔を見たのはやはり、女同士だからだろうか。


 ウィリアムはラズとフランを見て静かに帰っていった。


「さて、ラズ?今回教えるお花の魔法はね、自分の好きなお花を咲かせられる魔法よ。上達すれば一面の花畑ができるわ。」


 フランがそう言いお手本を見せてくれた。フランが杖をだし魔法を唱えた。


「フラワリング《花よ咲け》」


 フランが唱えると杖先から綺麗なバラの花が出てきた。赤ではなく、ピンク色の鮮やかなバラだった。


「うわぁ〜!きれい!まるで、フランみたいだね!」

 

 ラズはフランのバラを見てはしゃいでいた。初めて見るピンク色のバラだ。フランはそんなラズを見ていて微笑ましく思っていた。


 (あ〜、可愛い子。ウィリアムも杖に"あれ"をつけるのも無理はないわ。……私もつけちゃお♡)


 フランは心の中で騒いでいるが表の顔は微笑ましく見ている美しい女神だ。ラズもフランが心の中で荒ぶっているのは知らない。


「ラズ?魔法を使う前に、杖貸してくれるかしら?」


「うん?いいよ?」


 ラズはフランに杖を渡した。フランはラズから杖を預かり額の近くまでラズの杖を持ってきた。その後小さい声で何かを呟いていたがラズには聞こえなかった。


「さぁいいわよ。貸してくれてありがとう。それじゃさっき教えた魔法やってみましょうか!」


「う、うん…。出来るかな……」


 ラズは自分の杖を見つめて心配そうな顔をしていた。


「大丈夫よ。あなたなら出来るわ。まず、自分の好きな花を思い浮かべて?その花を思い浮かべながら呪文を唱えるの。さぁ、やってみて?」


 フランがラズに丁寧に説明をし、ラズはフランから言われたことを頭に入れ杖を持ち直し、唱えた。


「フラワリング《花よ咲け》」


 ラズは目を瞑っていた。


「ラズ、目を開けてみなさい?」


 フランに目を開けてと言われてラズは目を少しづつ開けた。


 目を開けた先にあったものはー

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