ハイファンタジーの設定を組んだのでとりあえず公開だけしておくの図

;龍星信仰

 天空界のヒメルに住まう夜明けの天竜グリュニングと、地底のヨルドに住まう黄昏の地竜スクムリング。二柱の竜神は創世の三女神のうちの全三柱・陽之慧と常闇、そして星䨩(ステラミラ)の争乱と神気の混沌、そして攪拌により生まれた始まりの双竜神。天地を総べてを統べる、互いに相生し、相剋せし存在だった。

 グリュニングとスクムリングの混合により地上世界『玄慈界(ミュステリウム)』が生まれ、生みの親と看做しているステラミラにその観察を任せ、双竜神はさらに混合して五つの子・五神竜を産み人々が生じ、そこで生きるようになった。

 双竜神とステラミラの信仰は聖五芒竜星教という名で広まり、エルトゥーラ王国を中心に幾許かの国においては絶大の信仰を誇っている。それに類似した龍星神社(神龍星道神社)は友好国の裡辺皇国においても存在し、神闇道、燦仏天にならび信仰の柱である。そのおおもとたる神闇道と燦仏天含め、この三つが大陸国家の主な国教として認定されているが、無論、それ以外の神を奉じる宗教も存在している。

 エルトゥーラ王国の教会や聖なるものにはセント、ではなく、ステラ、とつけるのが慣習である。


 双竜神は互いに交わり、五つの子を産んだ。木、火、土、金、水をそれぞれ司る神竜たち。

 木の神龍・フジェル、火の神竜・エルデン、土の神竜・グランダム、金の神竜・ステイン、水の神竜・ヴァン、それらの七つの神竜は玄慈界に物質を広げ、生命が始まり生けとし生けるものが生じた。

 五つの神竜——五神竜はそれぞれの幽界から玄慈界に影響を及ぼし、静かに眠っている。


 双竜神は最終的に離別。グリュニングは飽くなき闘争に耽る人類に呆れ果て、浄嵐によって地上を洗い流そうとするが、スクムリングは人類の可能性を信じてほしいと説得し、彼らに可能性を示すと地中深くで祈りに入り、入滅。

 スクムリングの亡骸は玄慈界全土にまたがる竜脈となり、竜脈炭の採掘場所として用いられるに至った。


:星䨩神ステラミラ

 青色に輝く二重のヘイローに、四本の腕と豊満な肉体で描かれる星の女神。公平と公正、天秤と応報、攪拌を司るとされる三女神の一柱。玄慈界の観察を任され、常に世界の全てを観測・記録している。

 その本性は無邪気に姉たちに甘える末の妹のそれであるが、女神には違いなく、陽之慧と常闇の争いを腕ずくで止められる唯一の存在でもあり、戦闘能力は極めて高いと推測される。


:聖五芒竜星教

 星䨩神ステラミラと双竜神グリュニングとスクムリングを信仰する宗教。五芒星を聖なるものとし、五芒星は五つの神竜を司るとされている。

 一般の宗教のように禁欲を是としているわけではなく、節制を持ちつつ適度に楽しみなさいよ、という教えに終始する。

 狐をステラミラの使いとし、狩ること、喰らうことを固く禁じている。

 竜を神聖であり、友であり、敬う畏敬の対象とする。この世界において竜は邪智暴虐というわけではなく、知性的であり、意味もなく人を襲うことはあり得ないと言っていい。攻撃するにしても子供や卵が危険に晒された場合や、縄張りを著しく汚された場合に限るため、大体は人間側に非がある。

 しかし一方で凶竜とされる、理性を失った危険な竜も存在し、それら凶竜には討伐要請が出される。


:屑浚い

 一般には冒険者と言われる連中。遺跡や廃墟、洞窟などを探索して発掘品を漁り、生計を立てる連中。屑浚いとは決して嘲った呼び名ではなく、彼らの正式な名称であり、蔑称ではない。

 その素性は様々であり、中には魔導学院を出た者や、元騎士、傭兵と兼任する者など多数。


:亜人

 古くから地上に存在する、人間が過酷な環境などに適応して変化した姿。人間の亜種という意味で亜人と呼ばれる。奇形として生まれてきた子供たちがそこから繁殖・分化し、種として定着したものが現代を生きる亜人と言われている。

 現在のホモ・サピエンスが生まれたのは約40万年~25万年前であるとされ、一番最初の亜人が生まれたのは、今から12〜8万年前とされている。

 人類が最初にどのような環境に適応しようとして変化したのかは諸説あるが、最古の亜人は獣人系の爪牙族とするのが定説である。


 亜人は一説には他の動物との交わり(異種姦)によって根本の存在が発生したともされており、その真相は不明であるが、爪牙族は特に獣との交配で発生した種族と言われている。適応元となった地域に暮らす生物の特質を強く受け継ぐ傾向にある。身体的特徴から、アレルギーなどの弱点に至るまで様々である。種族によって身体能力の差や魔力の多寡も様々であり、一概に亜人だからといって全てが純粋な人間より優れるわけではない。


 寿命は基本的に人間と変わらないが、中にはエルフをはじめ長命種なども存在する。



:エルトゥーラ王国

 汎大陸暦星暦前約800年前、今から2647年前に建国の英雄――ヴィオラ・レダリアが神竜ヴァンと絆を結び、混迷の極みにあったエルゴン島を導き、平定しエルゴン王国として発足、国王に即位。英雄王とも言われる人物。これが今日のエルトゥーラ王国の礎であり、8月24日が建国記念日。ヴィオラは黒塚の島と呼ばれる潜む天魔王と邪竜を討伐したと伝えられ、その求心力を持って周辺諸国を統一していき、六年後、2641年前の10月18日にエルトゥーラ王国を発足する。

 ヴィオラ王は即位から四〇年後に崩御。当時不治の病であった重度の肺結核と、戦いによるダメージによるものだったとされる。


 星暦1842年、エルグリット暦45年には比較的安定した地政を執り行っていた。エレボス帝国からやってきた四隻の陸上戦艦に対し、王国は魔術師部隊と魔装兵装部隊による撃退行動を開始し、圧倒的な差を見せつけ追い払った。

 王国は王政中期の頃の立役者にして初代騎士団総帥、イルダ・セリジオが国交を持つよう興味を持った裡辺皇国、三代目総帥アルゴス・セリジオが国交条約を結んだフーティエと国交条約を結んでおり、それ以上を必要としていなかった。

 大陸の制覇を目論むエレボスとしてはエルトゥーラ王国を北の拠点として押さえておきたいところだったが、王国が持つ圧倒的な力を前に出鼻を挫かれた形となっている。

 中世〜近世の時代で、産業革命が部分的に起きている。武器兵器に関しては攻城用の大砲やバリスタ、弓矢やセミオート式クロスボウ、剣や槍が主流だが、紡績工場や製鉄工場が出来つつあり、工業化の波がエルトゥーラに押し寄せてきている。それらの機械動力の動力源となっているのは竜脈炭であり、各地で開発事業が盛んに行われている。


 エルゴニア王家とセリジオ総帥家はそれぞれ政治と軍事を司る最高地位という位置付けであり、敵対しているわけではない。

 セリジオ総帥家は爪牙族の一族であり、現在は第27代総帥、アリア・セリジオが頂点に君臨し、軍事の最高責任者として振る舞っている。

 国王は84代目国王、レガリオ・レダリア・ステライト・エルゴニア三世。

 王都・エルゴスに国王、そして総帥は在籍している。


 エルグリット暦51年星暦1848年に貴族連合軍を中核とした大規模な反王国武力攻撃が勃発する。各地域の貴族を伴った内乱とも呼べる戦いであり、大規模な衝突が四回、小規模な内紛に終始した戦闘が続き、最終的な停戦講和が締結したのは星暦1852年・エルグリット王が崩御し新国王の治世、レガリオ暦七年のことである。実に14年もの間内乱が続いていた。


 文明レベルは中世〜近世ほどで、モラルは現代と比べると世紀末的な具合(良くも悪くも当時の中世と変わらない。都市では別として田舎や辺境では山賊や野盗が出没することも珍しくない)。

 城下町などでは一定の治安が保障されるが、外の世界ではその限りではない。

 本編はこの時代――レガリオ王が即位してから15年目のレガリオ暦15年から開始となる。星暦でいえば1875年。内乱終結から九年経っている。



:竜脈炭

 玄慈界(ミュステリウム)、で見られる石炭資源。竜練気と魔力が土中で石炭化したもの。エネルギー資源の一種。

 主な使用用途は魔力を抽出してエネルギー資源としてのそれ。


:魔術師

 人が忌むべき異能の術を扱う者たちの総称。いわゆる異能力者。

 古来より伝わる霊能力や妖術、魔法や呪術といった未知の力を扱う。


:魔力

 魔力とは魔術師たちが「魔術」を扱う際に、彼らだけが独自に持つ器官である丹田で練り上げるエネルギー。生命エネルギーと精神エネルギーの混合体=夢のエネルギーであり、それを混ぜ合わせ錬成するための器官が丹田と言われている。

 総量、出力には大きな個人差が存在する。

 夢を見る際の不可思議な現象や体験が、記憶に残っているのであれないのであれそれが魔力量や質の形成につながると考えられる。刻まれる術式が同一でも性能に差が出る理由がこれ。

魔力(ドロームエナジー)DE可能性P×夢記憶の質量M×光の速度の二乗c^2』が魔力量を示す方程式である。

 魔力の熱暴走を引き起こすと寝込んで支離滅裂な夢を見たり(夢は元々支離滅裂ではあるが)、過去の体験を追体験したり、あるいはその際にifを歩んだりして別の「可能性」を探り始めることがある。

 魔力を生むのは肚(丹田)か脳かという議論は後を絶たないが、肚で生み出された成分が脳に到達しているだけという説が現在の通説である。

 魔力は肚だが術式は脳(前頭葉)で回すため、術師は練り上げた魔力を如何にラグを減らして術式に回すかが腕の見せ所となる。


:魔術

 魔術師たちが扱う異能力の総称。先述の通り霊能力やら魔法と言われていたものの総称で、発動様式や効果、それによって生じる代価などは人によって様々。

 その術式は脳の前頭葉に刻まれるケースが九割九分九厘であり、例外はごく稀である。

 瞳に術式が刻まれる瞳術というものもあるが、それはあくまで瞳の術なので脳に別の術式が刻まれることもある。こう言ったケースで同一人物が複数の術式を持つこともある。

 イクリプスの頭領ネメアは脳の異なる領域に三つの術式を持つとされており、それが最強の魔術師と言われる所以である。

 術式が脳に刻まれる理由は夢をみることと関係するという説があり、記憶の有無に関わらず夢の中で「何か」に接触することで術式を授かるとされ、実際魔術師の中には夢の中で巨大な獣に会った、女神のような女性に会った、という証言をする者が存在する。


:魔具、魔装

 魔術師たちが扱う、あるいは魔装具師たちが作り上げた魔力を纏う、もしくはそれに対して高い親和性を持つ道具。

 一般に道具と総称できるものを魔具、身に纏う装備などを魔装と呼び分ける。

 外部電源的に魔力符を積んだものもあるが、大抵は自ら魔力を流して使う。価値はピンキリ。中には一振り数百万ロガの魔剣なんかもある。


:幻獣

 この世界に生息する、通常動物とは異なる生命体。

 高い生命力と、通常考えられない肉体を持つ不思議な生き物たち。人間が環境に適応して亜人化していく途中、一般の動物が竜脈の影響を受けながら子孫を残した結果、種として定着したのではないかと考えられる。


:通貨

 ステラミラ様は金銭を好まない。また、聖五芒竜星教をはじめ三女神の元に訪れる者ものは金銭で苦しんだ者が多いため、そこを汲んで物々交換で取引する。その教えに従い、エルトゥーラ王国地域でも同様である。

 ロガ働貨(略してロガ)という、魔力を込めた札や資材を封入した札で物々を取引したり、手伝いやなんかの対価として物をもらうことが一般的である。

 一ロガ働貨一円に換算される。

 物価は非常に安く、現代日本人的な収入があれば豪遊生活を送れるほどである。経済や貨幣価値は国家働貨流通院——大蔵省が管理・運用しているが、独裁というわけではなく、各商社連盟やトレーダーギルド、貴族の資産状況との連携や企業とのバランスをしっかりとっている。


:RF式クロスボウ(セミオート・クロスボウ)

 ランドルフ・フォレスト式クロスボウ。

 魔力を駆動盤(ディスク)に流して回転させ、自動で弦を動かし矢筒のボルトを番えるセミオート式のクロスボウ。

 極めて短期間の訓練で高威力の矢を放てる高性能な兵器であり、弓兵の常識を変えた。ただし、速射性能で勝る一方で純粋な威力は弓矢に劣る。


:ロダの実

 ロダの木という低木に実る木の実。身を守るための少し硬い殻を持ち、それを割って中身を食べる。

 味は甘味が勝りつつも酸味があるという感じで、ものすごく甘い柑橘類のような感じ。実際、種別的にも柑橘類の仲間で、殻と実は美しい山吹色をしている。

 春先から晩夏にかけて実をつける。

 乾燥させて携帯食にしたり、汁を薬品に用いたりもする。栄養価が高く、エルトゥーラの民にとっては重要な食糧源。

 ロダ・エリーシアンという聖女が飢えを凌いだ木の実であり、それがこの木の実の名の由来となっている。


:聖女スウィンリーン

 本名スウィンリーン・メラリア。予知の目を持ち、幼い頃から未来を言い当ててきた。

 実家は貧相な農奴の一家であり、親は七歳の彼女に聖女の聖痕が現れるなり教会に売り払い、その威光を振り翳して村で傲慢の限りを尽くしていたが、スウィンリーンはその類稀なる予知能力で両親の破滅を予見していた。しかし私的な怨嗟による報復か、天秤の応報に従ったのかそれを告げず、黙っていたという。

 両親はその悪行による荒稼ぎが都に告訴され、聖女の親ということで表向きの死刑は避けられたが、薄暗い地下牢で一生を過ごす羽目になったという。

 スウィンリーンは両目の宿る瞳術の予知能力を、死の間際に目をくり抜いて魔具化した。スウィンリーンの瞳と呼ばれるその聖なる予知の瞳は、星教会が厳重に管理しているという。

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