第21話 -6.7
赦さんぞ、
そう言ってベッドを蹴り上げた。
親分。
そう言った手下をその手下の顔めがけ、その手下の顔を包み隠す位、大きな平手が唸りを上げて、その手下の顔面にめり込ませた。
その後ろにいた、運の悪い奴、諸共反対側の壁に回転しながら壁にめり込んだ。
お、・・いやボス、艦長。どうか、落ち着いてください。
そう言った途端、
お前は俺に指図する立場か。
と言い終わると同時に、今度はベッドを蹴り上げた反対側の足で、いや、踵で意見をした者の頭の天辺に撃ち込まれた。
その部屋は、暫くの間手下の骨と肉が、壁や床にぶつかる音、へしゃげる音が恐ろしく響いていた。
その発生源はその艦長と呼ばれた、鼻を中心に×状に包帯を巻いているその者の手、腕、足からである、そしてその手下。
あの青い池の保養所近くの居酒屋、そしてホスピタルで、と二度も拳を顔面の中心に撃ち込まれたその者であった。
落ち着いたのか、ソファにドカッと、腰を下ろすと、いつも侍らしている双子姉妹を呼び寄せ、左右に座らせた。
その、姉妹の顔は機嫌を取る様に張り付いた笑顔ではあるが、バツの包帯にとってはどうでもよかった。
手下に次のキャンペーンの指示をし、この戦艦の航行を指示した。
戦艦、と言ってもほとんど球体の大型のポッドがいくつも貼りついているいびつな形をした戦艦であった。
そのポッドの中には、二足歩行、四足歩行、六足歩行と言った、自立型殺戮機、そして未開星から違法に狩った猛獣を、殺戮の為だけに遺伝子を組み換え、より凶暴にし、兵器として飼いならした殺戮生物が押し込まれていた。
それらを各ポッドに押し込み、戦いになると、それらポッドを敵戦艦に打ち込み、ポッドの中の自立殺戮機、または殺戮生物が敵艦の中身を掃除して、乗っ取り、自分の使い捨て武器とするのである。
それは、輸送船だろうが、病院船、避難船だろうが攻撃目標となれば女子供、病人など容赦はなかった。
その非道さから、皆殺しのポッドと傭兵仲間からは、蛇蝎の様に嫌われていた。
今度は要塞攻撃か。
左右の姉妹を弄びながらそういった。
多分、あいつ、あの野郎、俺の顔面に二度も拳をめり込ませたやつ。
左右の姉妹の顔は真っ赤になり、身をよじり始めたが、強引に二人の居ずまいを正した。
あいつも来るはずだ、ぶっ潰して、あの戦闘艦に乗っている女どもを、あの野郎の目の前で・・・。
と言ったときには、左右の姉妹の息は荒くなり、小さく叫び声をあげ、硬直したかと思うと、ぐったり弛緩し、その原因を作った男にしなだれてしまっていた。
クッと笑うと、二人をソファーに残し、毛布を二人にかけ、コクピットに向かって、大声で手下に指示を出しながら向かった。
絶対座標と、時間をあわせて、しばらくたった頃。
めぼしい戦艦にポッドを撃ち込み、一隻、二隻と、掃除が終わり、こちらのコントロール下に入れ、敵艦を攻撃していった。
それでも、他に得物を探していた。
そう、二度顔面に拳を入れたやつ。
全天モニターではなかなか分かりづらい。
それでも、その憎しみは奇跡を起こした。遥か隣の戦闘区域にそいつはいた。
手に入れた、使い捨ての戦艦、巡洋艦を引き連れて、その目的地まで行こうとした。
軍監がすぐさま持ち場を離れるなとクレームを入れたが、誰にクレームを入れてるのか、と一喝すると、その後はなにも無かったように押し黙ってしまっていた。
笑いをこらえながら、目的の戦闘艦に近付きつつあった。
人形と猛獣のポッドの射出の用意を済ませ。
いざ、射出しようとした時。
味方の、味方であったはずの枢軸の戦艦から一斉射撃が放たれた。
射出用意したポッドに直撃し光と共に四散した。使い捨ての戦艦を盾にして、やり過ごそうにも、要塞からも、カノン砲が一斉射撃され、そちらの方にも振り向けなければならなかった。
そうこうしてるうちに、目的の戦闘艦を見失ってしまい、臍を噛んでいると、青い発行体がそう遠くない所で、敵艦隊に向かい突っ込んでいくのが見えた。
直観だろう、あの後をついていけば助かると。
その証拠に、もう一本光跡が跡を追っている。
あの青い光は奴だろう。
もう一本は誰だ。
丁度いい、探す手間は省けた。
これで助かったら、少し負けてやる。
ニヤリと笑いながら。
苦しまずに、楽にしてやる。
そう言うと、全速でその青い光の後を追った。
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