第2話

月曜の朝。







眠い目をこすりながら、遅刻ギリギリで教室に着いた俺の前を、美咲が通った。







声かけようと思ったけど、あいつの周りにはうるせぇ女どもがいて・・・







・・・俺は・・・







女子が苦手だ。







せっかく共学なんだけど、俺がしゃべれるオンナっつったら・・・







小学校から一緒の加奈。

それから、加奈の友達の美咲・・・だけ。







それも・・・単独でいる時のみ、だ。







あんなふうに、女子の中にいる美咲には、声かけらんねぇ・・・。







黙って通り過ぎようとした俺に・・・







「いてっっ!!・・・なんだよっ!?」







美咲のやつ、蹴りを入れやがった。







「な~んで無視するかなぁ~??」







「無視って・・・お前、あいつらと夢中でしゃべってたから・・・」







「『よう!』くらい、言えるでしょー?口があるんだからさぁっ!」







そう言って美咲は俺の顔をつねる。







「いててて・・・。何すんだよっ!

この凶暴オンナがっ!」







「あっ!凶暴オンナって失礼ー!!拓こそ、いくじナシじゃん。私に声もかけられなかったくせに~」







毎朝のようなこの光景を、加奈と裕太が呆れて見てるのも・・・いつもの事だ。







「加奈、見ろよ。

あいつら、またやってる。」







「本当、バカだねー。

小学生か!?っつーの。」







「だよなぁ。もっと大人になりゃ・・・せっかく上手くいくのにな。」







「無理なんじゃない?あんなジャレ合ってたって、結局、どっちも言う勇気ないんだから。」







加奈と裕太がこんな会話してたなんて知らなかった。







・・・知ってたら・・・







もっと早く、コクれてたかも知れないのに・・・

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