プロローグ

第1話

これはいったい何?



何が起こっているの?



知らないっ!!



こんな私、知らない。見たこともない。




なぜこんな状態が

目の前で起こっているのか分からない

私が見ている光景は、信られないもの・・・



答えは分かっている。



それは・・・


私がまったく知らない人たちの輪の中に入り、

楽しそうに笑っている。


どうして私がそこにいるのか、笑っているのか

どうやってその人たちと知り合ったのか

まったく分からない・・・


それでも、その中にいる私は

本当に楽しそうに、本当の笑顔で笑っている。





なぜ・・・笑える?



笑ったことも、怒ったこともない私が・・・


感情ひとつ表に出すことをやめてしまった私が・・・




なぜ? な・ぜ・・? な・・ぜ・・・?






私はある日を境に笑うことをやめた。


それは、私が笑うと喜んでくれる

たった一人の人が亡くなった日



その日から一切の感情を捨てた。


  そう・・・全て自分で・・・



“だから・・・これは夢だ!!夢に決まってる!”




そう判断した次の瞬間・・・心の奥に声が響く


あなたは笑える。


   あんなにも楽しそうに


            うれしそうに



早く取り戻して、感情を、心を・・・


    全てが手遅れになる前に・・・


・・・


・・・?・・・


手遅れ?・・・何のこと?・・・分からない・・・




でも、私には関係ない。

そんなものは必要ない。いらない。

あっても自分がつらいだけ・・・


私は不思議な声にそう答えながら、

 深い深い眠りに落ちていった・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る