恋をしたら

もちっぱち

第1話 愛菜

「ちょっと待ってよぉーー」


 高校2年生の愛菜らなは、幼稚園の頃から一緒にいる幼馴染の爽汰そうたにずっと片思い。いつまでも告白できずにいた。


「遅いよ。てかさ、明日から俺、愛菜と一緒に登校できないから」

「え、なんで?」


 愛菜は、走って追いかけて、息があがる。バックを背負いなおす爽汰は、ため息をこぼす。


「俺、明日から1本早い電車に乗るんだよ。だから、一緒に行けないから」

「えーー、嘘でしょう。よりにもよって、なんで早い電車に!?」

「お前がいつまでも自立できないからだよ」

「え、私のせいなの?」

「早くお前が朝、起きないのが悪い。ということで、俺との登校は今日で卒業だ。がんばって、な」

 愛菜は、何だか悔しくなって、鼻息を荒くして、爽汰の前に立つ。


「明日から早く起きるから。爽汰と一緒の電車乗るために」

「……へぇ、そう。できるの?」

「うん」

 両脇に手をあてて、ふんぞり返った。


――翌日

 駅のホームで発車ベルが鳴り響く。電車の出入り口で待つ爽汰はがっかりする。


「愛菜の俺への愛はそれくらいってことなんだよな……」


 ギリギリの時間にホームへ駈け込もうとする愛菜は、目の前で扉が閉まる電車に乗れずに泣きながら見送った。


「爽汰ぁ~ごめん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年11月16日 06:00

恋をしたら もちっぱち @mochippachi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ