恋をしたら
もちっぱち
第1話 愛菜
「ちょっと待ってよぉーー」
高校2年生の
「遅いよ。てかさ、明日から俺、愛菜と一緒に登校できないから」
「え、なんで?」
愛菜は、走って追いかけて、息があがる。バックを背負いなおす爽汰は、ため息をこぼす。
「俺、明日から1本早い電車に乗るんだよ。だから、一緒に行けないから」
「えーー、嘘でしょう。よりにもよって、なんで早い電車に!?」
「お前がいつまでも自立できないからだよ」
「え、私のせいなの?」
「早くお前が朝、起きないのが悪い。ということで、俺との登校は今日で卒業だ。がんばって、な」
愛菜は、何だか悔しくなって、鼻息を荒くして、爽汰の前に立つ。
「明日から早く起きるから。爽汰と一緒の電車乗るために」
「……へぇ、そう。できるの?」
「うん」
両脇に手をあてて、ふんぞり返った。
――翌日
駅のホームで発車ベルが鳴り響く。電車の出入り口で待つ爽汰はがっかりする。
「愛菜の俺への愛はそれくらいってことなんだよな……」
ギリギリの時間にホームへ駈け込もうとする愛菜は、目の前で扉が閉まる電車に乗れずに泣きながら見送った。
「爽汰ぁ~ごめん」
次の更新予定
2024年11月16日 06:00
恋をしたら もちっぱち @mochippachi
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