第2話
大理石のタイル。私以外に人間は殆どおらず見かけない。
警備も侍従も人型だが人間ではない。そう思うと少し寂しい気分だ。
『謁見に行きたいのだが、通してくれ。』
「....殿下を確認。かしこまりました。陛下がお待ちでございます。」
大きい鉄製の扉を開くと、1人の人間が椅子に座っている。間違いなく陛下だ。
私の事を育て、名をくれて。私が敬愛するただ1人のお父様。今は私に名を継いだからちゃんと名前で呼べないのがもどかしい。
「久しぶりだな。モノ。」
『そうですね。訓練に忙しかったもので。』
私を座らせてから、お父様の最側近の人間にお茶を用意させて控えるように命令を下した。
お茶しか出ないという事は、すぐに試練の内容を教える事を暗喩しているのだろう。
「訓練は良かったと聞いている。武官も嬉しそうに報告していたぞ。
よくやったな。」
これは前回の試練で自衛を学んだり、毒や薬などの知識も取り入れた。
現に、私の足には武器が何本が携わっている。ヒールも蹴れば武器になる。
自分で言うのもおかしいが、脳筋になっているような...
『(どうせ。この試練を達成すれば護衛が手に入るから戻るだろう。多分。)』
お父様の最側近も人間だし、常時顔を隠しているのは疑問だけど。
『陛下。次の試練は何でしょう?』
「そうだな。」
こういうものはストレートに聞くべきだ。案の定すぐに話を持ちかけてきた。
おいでと視線で私を誘ったら、鏡に手を入れて鏡の世界に行ってしまわれた。鏡の世界はお父様が見つけて統治された世界。
人間に似た機械が沢山居て、鏡の世界に繁栄を約束する代わりに知恵をくれと契約したのは有名な話だ。
いつも勇ましく見えるあの話が好きだ。
私は迷うことなく後を追って鏡の中に入り込んだ。
目を開くと、おかしい。
『(場所が変わらない、?)』
「来たか。歩きながら話を続けよう。」
「.....あぁ忘れていた。ここは鏡の世界。
全てが鏡合わせになっているのさ。」
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