第247話
焦りが頂点に達していた。もう無理だ。どんな言い訳も通用しそうにない。本当のことを話したところで健が信じてくれるはずがない。
「来いよ。」
健は私の腕を引っ張って玄関先に連れていこうとしたから勢いよく振り払った。
「行かないって!!行くなら健一人で行ってきて!!」
「御手洗さんの服だって認めんの?」
「……今日は疲れてるから、もう寝かせてくれない?」
「正直に話せよ。紫乃は御手洗さんの家にいたの……?」
「……御手洗の家なんか行くはずない」
「そしたらその服はどう説明すんの?お前も蓮みたいに勝手に家に入ったの?盗んだの……?」
「違う……」
「ほんと意味わかんねえわ。御手洗さんのこと、ストーカーやら殺人犯やら散々ボロカス言ってたくせによ……。お前は一体何がしたいの?御手洗さんのことが好きなの……?」
「…………」
「好きなのに相手してくんねえから、そんなことばっか言ってんの?もう俺、わかんなくなってきたわ。ストーカーは、お前の方なんじゃねえの……」
「そうかもね……」
「……俺だってほんとは、こんなこと言いたくねえよ。なんで言わすんだよ。なんで俺の神経を逆撫でするようなことばっかすんだよ……。お前、おかしいって……。頼むから……お願いだから、昔の紫乃に戻ってくれよ……」
「……ごめんね。私やっぱり、おかしいよね。明日……精神科行ってくる」
「悪い、言いすぎた……。紫乃はもう寝ろよ。明日、親父に電話しといて……」
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