第195話
「めっさ聞きたい。」
「あいつ、何年か前まで暴走族の総長やってたんだ。そのときの副総長とわしが結構仲良くて、話はそのこから聞いたんだがな?」
「へえ、総長とかすごいね。」
「喧嘩のあと、よく二人でスーパー銭湯行ってたみたいなんだが……なんか玲央が毎回足湯に肩まで浸かってたらしいんだ。夜中だし閉店間際だから客はほとんどいなかったらしくて……」
「ほうほう。」
「副総長はな?玲央がわざとそんなことしてると思ってたらしくて何も言わなかったらしいんだ。気持ちよさそうに鼻歌唄ってたから、温かく見守ってたんだと……」
「副総長優しいね。」
「ところがどっこい、わざとじゃなかったらしいんだ……」
「ほう。」
「あまりにもそれが続くから従業員が三人ほどやってきて玲央に注意したらしいわ。そしたらあいつ、焦りまくって“ごめんなさい!!普通湯と間違えてました!!”って必死に謝って大慌てで足湯から飛び出していったらしい……」
「想像したらめっさ笑う。」
「普通湯て……。あいつ、足湯の存在すら知らなかったらしいわ。それ以来、学校では足湯ってあだ名つけられたらしい。わしはもう話聞いたとき情けなくて死にたくなった。あんな息子に育ったことが恥ずかしくてしょうがない。」
「私もよ!!玲央のせいで、あの銭湯行けなくなったんだから!!そこの従業員と友達だったけど恥ずかしくて連絡も取れなくなったわよ!!どこの世界に足湯と普通の湯船間違えるやつがいんのよ!!」
「玲央くん、今日いないの?会いたすぎて死にそうなんですけど。」
「バイクでどっか行ってるわよ!!フラフラフラフラして毎日帰ってくるの夜中の三時過ぎよ!!今日も学校から電話あって呼び出されたのよ!!もうやってられないわよ!!!」
「彼女はいないんですか?」
「いるわけないだろ。あいつは、なんかよくわからんが蓮が好きなんだ。蓮って娘の幼なじみな。そいつと将来一緒に住むから一生結婚しないとか言ってたぞ。なぁ、かあさん。」
「そうよ!!息子はレン命なの!!女装した蓮が息子の学校に遊びにいったときに、あのこ、蓮だと気づかずに一目惚れしちゃったらしいのよ!!それ以来よ!!一切他の女の子と遊ばなくなったのよ!!ほんと蓮も余計なことしてくれたわ!!」
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