9
第193話
健が運転する車で実家にやってきた。実家は二階建ての一軒家だ。無用心にも玄関の鍵は開いていた。
私たちは家には入らずに長いあいだドアの前で立ち尽くしていた。この中に御手洗がいると思うと入ることができなかった。
「紫乃、無理すんな。もう帰ろ?」
「……大丈夫だから」
「全然大丈夫じゃねえだろ。もう20分以上ここにいるし。怖くてしょうがないんだろ?とりあえず車戻ろ?」
「……無理。家族が危ない」
「御手洗さんとなに話すつもりだよ。ヤクザなんですか?とか聞くつもり?」
「……いろいろ質問すんの。職業とか今日の殺人事件のこととか。絶対本当のこと言ってこないと思うけど」
「もうやめようよ。そんなことしてなんの意味があんの?帰ろうよ。」
「……うるさい。帰りたいなら健一人で帰ってよ。私の家族が殺人犯かもしれない人と一緒にいるとか耐えられない」
「犯人なはずないって!!どうせマンションも引っ越すんだから、これ以上関わらなかったらいいだろ!!」
「健はあの男の正体を知らないからそんな悠長なことが言えるんだよ。もう大丈夫だから入るよ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます