第149話

状況が把握できたと同時に背筋に戦慄が走った。街路灯の明かりで二人の姿がはっきりと見える。見てはいけないものを見てしまったような気がして絶望感に苛まれた。





なんとかなるかもしれない。そんなふうに考えていた自分が愚かだった。私はどこかで御手洗のことを甘く見ていたのかもしれない。





黒のベンツからエンジン音が聞こえたと思ったら猛スピードで車を鬼バックさせそのまま駐車場から走り去ってしまった。





あの光景を目にしたら逃げたくなるのは理解できるが、友達を見捨てて逃げるとかあまりにも冷酷すぎる。




私だって逃げれるものなら逃げたいが体が金縛りにあったかのように動かない。








――――御手洗の背中一面には、虎の刺青が入っている






そして御手洗が勅使河原の頭に突き付けているもの






それは紛れもなく拳銃だった―――――

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