第98話
手紙の文章は手書きではなくパソコンで打たれてある。最後の【ℳ】という文字だけは、真っ赤な血で書かれていた。
「M……ミタライ……」
背中を壁につけると、そのままズルズルと座り込んでしまった。
最悪の事態が現実になってしまいそうな気がした。このまま家族会議になったら、本当に離婚させられてしまうかもしれない。
証拠とは一体なんなのだろう。やはり、あの時、御手洗に言わされた言葉を録音されていたのだろうか。私は不倫などしていないのだから、それ以外に考えられない。
離婚なんて絶対にしたくない。嫌な部分も確かにあるけど私は健を愛している。
私たちは決して楽に結婚できたわけではない。私たちの結婚を応援をしてくれていたのは私の父だけだった。
特に健の父親には結婚だけは許さないと猛反対されていた。だけど、私たちは人一倍の努力を何年も重ね、それでやっと皆に認められ夫婦になれたんだ。
御手洗なんかに壊されたくない…………
御手洗なんかに―――――――――――
「おーい。生きてるか?」
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