第85話

目の前がテレビの砂嵐になっていた。誰に相談したらいいのだろう。確実に逃げられる方法を頭の中で考えていたけど、何一つ思い浮かばなかった。




実家まで知られているんだ。どこに逃げたとしてもすぐに調べられて追いかけてくるに違いない。




もう何も考えられない。御手洗は、放心状態になっている私を起こしてソファーに座らせてきたあと、耳元で「またね」と囁き玄関のドアを開けにいった。






「健さん、こんばんわ。」



「なんなの??ずっとチャイム鳴らしてるのに、なんで出てくれないんだよ!!心配するだろ!!!てか、なんで御手洗さんが家にいんの??嫁は??あいつ、どこ行ったの!!」



「高瀬さんなら、リビングのソファーで休んでますよ。今日は、もう疲れてると思うのであのまま寝かせてあげてください。」

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