第67話

御手洗の家のドアを開けると、リビング辺りから健の声が聞こえてきた。




玄関先から何度も健の名前を呼んだけど全く反応なしだったから、家の中に上がり込んでいった。



「…………」




あの男はミニマリストでも目指しているのだろうか。生活感の欠片もない殺風景なリビングだ。置いてあるのは百インチ以上はありそうな大型テレビのみ。



健は、ゲームに夢中になりすぎて背後にいる私の存在に全く気づいていない。




「ああ、もうクソ!!!!」とか言いながら壁をドンドンと叩いている。まるで、短気ゲームオタクの小学生だ。



その姿を見ていると後ろから健の後頭部を蹴り飛ばしたい衝動に駆られてしまった。



「なにしてんの……?」



「うわあああああ、ビックリした!!!なんで嫁がいんの??」



「もういいから!!早く立って!!ゲームやめて!!帰るよ!!」



「ごめん!!あとちょっと!!あとちょっとだけ待って!!もう終わるから!!」

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