第23話

私が最も恐怖を感じるのは、インターフォンの音だった。連続で鳴らされたことから激しく心臓が鼓動し始めた。




こんな時間に誰なんだろう。隣人ではないことは確信していた。あの男は健がいる時は絶対に来ない。だけど、もしそうだったらどうしたらいいんだろう。




部屋に逃げたいのに体が動かなかった。健は、相手を確認することなく玄関のドアを開けた。




家を訪れた人物が視界に入ると、思わず首を傾げてしまった。長身で茶髪の男がボケーっとした表情で突っ立っている。






「なに2人して、かたまってんの。」




そう言って微笑してきた男が、さっきまで一緒だった蓮だと気づくまで少し時間がかかった。



「なんだ、蓮かよ……。誰かと思ったわ。どうしたんだよ。てか、久しぶりだな。」



「おばちゃんが、スマホ忘れていきやがったから俺が届けにきてやった。」



はい、これと言ってスマホを私に手渡してきた。



「わざわざありがとう……」



「蓮、今から警察行ってくるんだけど、その間、ここにいてくれない?」



「なんで警察?」



「家の中、かなり荒らされてんの。多分空き巣の仕業。ちょっと中入って見てきてよ。ビックリするよ。」



「電話したらよくない?わざわざ行く必要ない。俺、早く帰りたいんだけど。」



「まぁまぁ、そう言わずによろしく。こういうのは行った方が早い。」

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