三十回、四十回と繰り返しコールが鳴っているが出てくれそうにない。運転中なのだろうか。それともまだ怒っているのだろうか。

自分がストーカーになっている気分になってしまった。健の鬱陶しそうにしている顔が脳裏に浮かぶ。それでも電話に出てくれるまでは絶対に切らないつもりでいた。

「はい、なに？」

「……やっと出た。今どこ？」

「実家。」

「もう夜中の十二時だよ？帰って来ない気？」

「その前に、なんか言うことないの？」

「私が悪かった。もう二度と変なこと言わないから今すぐ帰ってきて……」

「そういって毎回変なこと言ってるよね？徐々に酷くなってるの気づいてる？」

「もう絶対言わない！！約束する！！だから、今すぐ帰ってきて！！一人だと怖いんだってば！！」

「今日は、もう帰らない。酒飲んでるから運転できない。」

「私が運転するから！！今からタクシーで行ってもいい？一人になりたくない！！」

「俺は一人になりたい。実家泊まって、そのまま仕事行くから。明日帰る。」

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