第4話
私の名前は
旧姓は
旦那の名は
私たちは半年前に結婚をした。
健と知り合ったのは私が高校一年の時だった。バイト先が同じだったから連絡先を交換した。そこから頻繁に連絡を取り合うようになり仲良くなっていった。
私にとって健の存在は大きかった。健は私が一番辛い時期に傍にいて支え続けてくれた。健がいなかったら私は今も暗闇の中をさ迷っていたに違いない。
気づいたら私の隣に健がいるのが当たり前になっていた。私が高校を卒業したあとは、健が借りていたアパートで同棲していた。
健は大学生で私はフリーター。アパートは狭くて汚かったけど、毎日のように将来のことを語り合っていたあの頃が一番楽しかった。
あの頃の健は、とにかく大人で落ち着いていて優しかった。私が悪くても笑って許してくれていたから喧嘩なんて一度もしたことがなかった。
今の健は一時間に三回は怒っているような気がする。私が謝るまでは口を聞いてくれない日もある。
幸せな新婚生活とは無縁だ。私たちに笑顔は消えてしまったのだから。
全ては隣人のせいだ―――――――
どうしてこんなマンションを購入してしまったのだろう。ここにさえこなければ、私たちはずっとあの頃のように笑っていられたはずなのに―――…
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