第6話
シーン10: 乱世の中の一息
戦場の中、緊迫した状況が続く中で、少しばかりのひとときを迎える。将門の軍の指揮を執る竹内が、突如として戦場の片隅で小さな事態に巻き込まれる。
【舞台】 広大な野原の一角。周囲には煙と血の匂いが漂っているが、その一角だけは意外にも静寂を迎えている。
【登場人物】
竹内(たけうち): 将門の冷静な参謀。
鎌田政宗(かまた まさむね): 将門の忠実な部下。
兵士たち: 戦場で懸命に戦うが、いざという時にちょっとした失態を犯す。
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竹内が急いで地図を広げ、戦局を冷静に分析している最中、突然背後から異音が聞こえてくる。
竹内(振り返りながら)
「ん? なんだ、今の音…?」
すぐに目を向けると、兵士たちが集まって一斉に何かを取り囲んでいるのが見える。その中心には、鎌田政宗が汗を拭きながらも笑いをこらえている。
竹内(眉をひそめながら)
「政宗、何をしている?」
鎌田政宗(振り向きながら、少し苦笑いを浮かべる)
「いや、竹内殿、ちょっと…あの、兵士たちが小さな戦を始めまして。」
竹内(困惑した顔で)
「小さな戦? こんな時に?」
鎌田政宗(苦笑いを隠しきれず)
「まあ、言うなれば…あの、ちょっとした『角突き合い』とでも言うべきか…」
竹内が兵士たちの周囲に近づくと、そこには二人の兵士が互いに小道具として使っていた槍を取り合い、ついにはお互いに激しく突き合っている最中だった。まるで子供の喧嘩のように見える。
竹内(呆れながら)
「これは…戦場で槍を突き合うとは、さすがに見過ごせん!」
鎌田政宗(深いため息をつきながら)
「いや、どうしても食糧不足で、彼らの間で『誰が最後に飯を食べるか』を決めるために…これが最も公平な方法だって。」
竹内(冷静に)
「戦場で食事を決めるために戦うだと!? これでは何のために戦っているのか分からなくなる!」
すると、周囲の兵士たちが一斉に叫んだ。
兵士たち(大声で)
「正義の勝者にこそ、飯を与えよ!」
竹内(ため息をつきながら)
「こんな時に、食べ物を賭けた戦をしている場合じゃない! 今こそ、貞盛公の軍が接近しているというのに!」
その瞬間、後ろから突然、将門が登場し、兵士たちの間に割って入る。
平将門(真剣な顔で)
「何をしている、竹内? これではまるで、戦場が遊び場だな!」
竹内(慌てて)
「将門公、すみません! 兵士たちが食べ物を巡って無駄な争いを…」
将門(腕を組みながら)
「無駄な争い、か。確かに。だが、ちょっと待て。おい、そこの二人、戦いの形が不正だ。槍を持つな、だが…どうせなら、力比べをしろ。」
兵士たち(戸惑いながら)
「え、ええ? 食事のために力比べ?」
将門(にっこりと微笑む)
「そうだ。食事を賭けて力比べだ。」
竹内(驚きの表情で)
「将門公、それはただの遊びでは…」
将門(眼光鋭く)
「戦の中に、遊びなどない。しかし、この戦場での『精神力』がどれほど重要かを学ばせるためだ。」
そう言うと、将門は兵士たちの力比べを即座に見守り始め、あろうことか、その場にいる全員に「正義の勝者に食事を与えよ」と自ら命じてしまう。
鎌田政宗(困りながら)
「これは…結局、どこまで続くのでしょうか?」
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シーン11: 戦の再開
数分後、力比べが終わり、敗者たちは恥じらいながらも食事を得られなかったことを受け入れる。その後、将門の決定に従って、戦は再開される。
将門(改めて戦局を見渡しながら)
「これで心を落ち着けたようだな。今こそ、父との戦いを決める時が来た。」
竹内(小声で)
「本当に、この戦場に休息の時はないのですね…」
鎌田政宗(肩をすくめながら)
「将門公らしいと言えば、それまでですな。」
将門(にっこりと笑い)
「戦を続けることこそが、民を守ることだ。しかし、戦士たちには心の余裕が必要だろう。」
その言葉を胸に、将門は再び兵を鼓舞し、戦場を駆けていく。だが、戦いの荒波は決して静まることなく、次第に悲劇的な方向へと向かっていく…。
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次回、将門の軍はどのようにして戦局を打開するのか… そして、父との決戦の行方はどうなるのか──。
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