オタサーの姫と、オタクに優しいギャルと、パパ活メンヘラ地雷系と、あざとい小悪魔系後輩と、ヤってしまった。なおカノジョたちの傍にはBSSしている主人公っぽい陰キャがいた模様やべぇオワタもう遅い!
第19話 レディキラー②~キッス・イン・ザ・ダーク~
第19話 レディキラー②~キッス・イン・ザ・ダーク~
バーカウンターに座ってダラダラとマスターとお喋りしていた時に、ふっとホールの方を見たらタエコがバンドマン相手にオラついていたのが見えた。
「なにやってんだかねぇ?」
俺はタエコが相変わらず男相手にオラついているのにがっかりした。
「もっとスマートに切り抜ける方が賢明ですね。あれではよくない」
マスターもまたどこか残念がる様にいう。そしてオラついて相手のバンドマンは怒ったらしく、タエコに掴みかかろうとする。だがそこへ高橋がさっとやってきて彼女をかばった。
「僕の連れです。何か御用ですか?」
「ち!男連れなら最初からそう言えよ」
バンドマンは特に噛みつくこともなく、タエコたちから離れていった。
「はぁ。がっかりだな。この間しつけてやったのに。お仕置きが必要かな?マスター!なんかお勧めのカクテルください。暗闇でロマンみたいな感じ」
「そうですね。だったらキッス・イン・ザ・ダークとかどうでしょう。秘めたる恋みたいなタイトルを冠するカクテルです」
「いいね。じゃあそれ!」
俺はキッス・イン・ザ・ダークをマスターから貰って、それを飲み干す。そしてこのクラブバーのバックルームに入る。
「お客さんすみません。こちらはスタッフ専用でして」
「わかってるわかってる。頼みがあってさ。照明を暗くしてムーディーな曲流してよ。ナンパダンスタイム的にして欲しいんさ」
「はぁ。まあ綾木さんは今日のVIPですし、それくらいの頼みなら…」
スタッフは戸惑いながらも俺の頼みを聞いてくれた。ホールはムーディーな音楽と暗い照明でエロティックな空気になった。俺は壁に背中を預けて後方彼氏面ごっこしながらタエコたちを見ていた。
「あはは。なんかいきなり空気感かわっちゃいましたね」
「そ、そうだね。なんか恥ずかしいね…こういう時ってどうすればいいのかな?うちわかんない…」
タエコと高橋の間の空気感がぎくしゃくしている。だけど同時に青春ラブコメ感のある匂いも感じる。俺はフラグを作ってやったのだ。さあ高橋君。君はチャンスを生かせるかな?
「あはは…その…とりあえずソファー行きます?」
「え。あ。うん。そうだね…」
高橋君はタエコを引っ張ってソファーエリアに避難してしまった。
「はぁあああ。情けねぇ…じゃあ…奪うね…」
俺はホールで踊る男女たちの間を忍者のように潜みながら踊る。そして高橋に気づかれないように、タエコだけと目線が合うように彼女の方を見る。
「あ…」
妙子と目が合った。俺はお茶目に投げキスなんかをしてみる。妙子はそんな俺を見た後、高橋を見る。そして俯いてどこかがっかりしたような顔をしてから顔を上げて席を立った。
「ちょっとおトイレ」
「あ、はい」
そしてタエコはダンスエリアからしばらくは離れていたけど。高橋から見えなくなったところで、俺の方へと歩いてくる。俺は近づいてきたタエコの手を取って腰に手を回して体をつける。
「ちょっと。レイジ…これじゃ…バレちゃう…」
「バレやしないし、バレてもいいよ。踊りたかったお前よりも自分の恥を優先した奴にお前を任せたくないからな」
そして俺たちは二人で手を繋いでダンスする。妙子は恥ずかしそうに、でも楽しそうに笑ってくれた。ギャルはこういうクラブイベント系好きだもんね。そして照明が一瞬だけどさらに暗くなった。その瞬間に俺はタエコの唇を奪った。
「んっ…あっ…ちゅ…っ…こんなの…いきなりキスなんてひどいよ」
タエコはどこか反抗的で、でも瞳を濡らしながら俺の首に絡みついてくる。
「おまえが悪いんだよ。この間せっかく俺が教えてやったのにまたオラついてる。そんでもって高橋に頼ったよな。俺がここにいるって知ってるくせに」
「違うよ!そんなんじゃないの!うちはそんなつもりじゃ!あ…ん…」
俺はそんなタエコのくびれからお尻の横までを撫でる。
「俺が意外に教える気か?お前がこんなに感度のいい女だって」
「そんなのうそ!ちがうの!触れられて気持ちいいのはレイジだけだから!あっ」
俺は強く彼女を抱きしめながら深く深くキスをする。そしてついでにお尻のポケットにメモを放り込む。二人の唇が離れた時、タエコの顔は寂しそうだった。
「続きが欲しいなら、その尻のメモを読め。でも傍にいる奴には秘密だぞ。お前と俺だけの秘密だ」
タエコは尻のポケットからメモを取り出して、ウルウルした瞳でそれを握りしめて頷いた。それを見て俺は彼女から離れてマスターのいるバーカウンターに戻ったのだ。
俺ってバカ?マジでバカ?すごくばかん?!
「タエコさんのメモ。私のメモと。集合時間。一時間ズレ」「あのメモ通りにこの部屋に来た時は驚いたんだよね。だってニコちゃんとレイジがメッチャ絡んでるんだもん」
タエコはニコのビキニのパンツに使用済みコンドームを結んで飾り付けていた。そして自分のビキニパンツにも同じようにコンドームを飾りにして、二人で腰を振っていた。それをテーブルに置いたスマホで撮影している。何でも今度の同人誌イベントで今回の経験を生かしたオリジナルエロを出すとのことだ。勘弁して欲しい。
「ねぇタエコ。今日の経験を生かして創作するのはいいけど、竿役の男を俺に似せるのだけはやめろよ」
「え?なんで?だめ?」
「ふつうにいやだよ。あとオタクにはマッシュルームヘアのバンドマンの竿役はきっとウケないよ」
俺がそう言うとニコは横でコクコク頷いてた。
「男性向けなら。汚いおじさん。マスト。でもレイジ君。に。似せてマッシュルームヘアのおじさんにすればいい」
「ニコちゃんナイスアイディア!それいただき!」
タエコはニコにギューッと抱きついて頬ずりする。ニコは恥ずかしがりながらも気持ちよさげに笑っていた。よかったねーニコちゃんお友達できてよかったねー。これでタエコがいる理由がわかった。そう。でもそのメモの意図がわからない。なんで一時間ズレのメモを書いて渡した?俺はベットから降りてシャワーを浴びながらそれを思い出す。
バーカウンターで俺はメモを書いていた。予約したラブホテルの場所と集合時間を書き込んでいる。
「あの先ほどもメモを書いておりましたけど、それはなんですか?」
「ん?ああ。俺さ。今日四人の女の子にね。わからせてやろうと思ってるのね」
「は、はあ…」
「でもさ。チンぽは一つしかなくて一度にセックスできるのは一人だけなわけよ。それにラブホの部屋も一つ。それに女の子同士が会うのは避けたい。だから時間ずらして呼び出してけば、バッティングしないよね?すごくないいいアイディアでしょ?」
「それは控えめに言っても脳みそがアルコール漬けになってますね…面白そうだからほっておこう」
マスターが小声で何かを呟いていたけど、酒に酔った頭ではうまく聞き取れなかった。学校での面談と同じだ。うまくこうやって時間差つけて呼べばうまく捌けるだろう。俺は自分の思い付きの鋭さに天才性を疑わなかったのだった。
---作者のひとり言---
面談感覚でラブホに女の子を呼び出す男レイジ!
控えめに言っても馬鹿である。
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