#花畑#
そう。
母はもう居なかったのだ。
私が12歳の時、脳出血でこの世を去ったのだ。
マンションにいた時、父からは愛されてなんか居なかった。いや、あれは父なりの愛し方だったのかもしれない。
私は父に性的暴行を受けていた。父が死ぬ14歳までそれは続き、父の子を身籠り堕胎した事もあった。私にいい父親なんて元からいなかったのだ。
動物病院に勤めていた時、一緒に話しながらコロッケを食べていたのは母ではなかった。この時母はもういない。あれは1人だったのだ。私の1人芝居だ。
テンが亡くなった時、テンは沢山沢山苦しんでいた。穏やかに目を閉じたなんて嘘だ。見ていられないと安楽死をしたのだ。それでカナちゃんとの電話の時、テンは怒っていたのだ。よくも殺したなと私に怒っていたのだ。
かつらのようなソレは、私だったのだ。
現実を見ようとしない私が私をみていた。
私が私に何度も教えようとしていたのだ。
うそをついちゃいけないよ、と。
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