白昼夢

私はアメリカ人だ。


黒い瞳に黒い髪。

低い鼻に短い足。


どうやら私は日本人のようだ。



友人を紹介しよう。


荒れを知らない肌と艶めく髪。

学生時代は野暮ったい一重瞼だったのだが、今ではパッチリ二重瞼。

尖った顎のやたら顔の小さい美人だ。


どうやら彼女は韓国人のようだ。



ペットを紹介しよう。


名前はベス。5歳のオスだ。

おとなしくて賢くて警察犬か盲導犬に向いているのだ。

しかし日曜夜6時半くらいになると、お魚くわえてある有名な女性に追いかけられている。それもほぼ毎週だ。


どうやらベスは猫のようだ。



私は弁護士だ。


悪に屈せず正義を貫く私の姿勢に庶民達は羨望の眼差しを向けるのだ。


今日も私は法廷という仕事場に立っている。


私の腰から紐のようなものが伸びている。


どうやら私は被告人のようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る