盗まれた不老不死
七つの桃が盗まれた。
永遠の命を持つとされた仙女、西王母。
彼女の不老不死の秘密を手に入れた東邦朔。
是等は古いお伽噺の一種。
古事記伝における黄泉の物語に通うずる箇所が多く、死して僅の後に黄泉の国へ渡った伊弉波を伊弉諾が追い掛けた内容に類似している。
愛しい妻の言い付けを破り、仕度が済む前に彼女の姿を見た伊弉諾。恐ろしい化け物へと変わり果てた伊弉波に驚き、怒り狂った彼女に追われるという内容である。
伊弉波から逃げる際に、神から授かった食糧の桃の実で難を逃れ、大豆を投げつけ穢れを祓う場面がある。
西王母を伊弉波に、東邦朔を伊弉諾に置き換えて見ると夫婦であること以外、物語の大部分の殆どが同じだ。
中国民話で盗まれた桃は七つ。
古事記伝では用意された桃が三つ。
此を元に、三つの桃は西王母と東邦朔の物語を象徴した印とされる。
東邦朔はその名の通り東邦、東の国の青年。
つまり日本人であった可能性が考えられ、七つの桃を盗んで不老不死を手に入れ、羽化登仙し高山の奥深い森に隠れ住む仙人とされる。
一方の西王母は、西国の仙女。
東邦朔に一泡蒸かせられ、無我夢中で桃を取り返そうとする恐ろしい一面を持つ女人である。
お伽噺を参考に踏まえると、古事記伝に纏わる物語と比較することで真の歴史を紐解くことが可能となる。
持論から言えば東邦朔に「月」の文字が含まれることから、月は日本。そして西は中国。
此により聖徳太子の一節が意味を成し得る。
「日没処の天子へ 日出処の天子より」
東西を分ける太陽と月の国。
果たして中国の女帝は三千年以上、否、六千年を遡る太古に何をしたのか。
そして東邦朔は日本に七つの秘宝を隠した。
其は七宝珠かはたまた智慧か。
それとも七柱の神々か。
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