流星群の夜、微睡めばキミ
あ
オープニング
宵の明星と競うように星々が光る日。
ふと、昔読んだ本に綴られていた文章を思い出す。
――流れ星は願いを叶える訳では無い。誰かの願いをキミに託すんだ。
惹かれる冒頭だった。御伽話の様に素敵でありながら、それでいて寂しい様な。
――空に流れ星が駆けるのは誰かが涙を流した時だから。願いを汲んで助けてあげるんだ。
目を瞑る。文章を覚えるのが苦手なワタシが一字一句を鮮明に思い出せる。
――そしていつかキミが流れる涙をどうしようも出来なくなった時、きっと誰かが助けてくれる。君の願いを、悲しさを、寂しさを、一身に背負って。
もし本当なら、ワタシも誰かの助けになりたい。
キミにはワタシがついてる。大丈夫だよって。
そしてワタシがどうしようもなく哀しくなった時に、助けに来て。それまではワタシが助けるから。
だってワタシにはずっと一緒に居たいって思える人がいるから。その人の前で悲しい顔は出来ないから。
――ああ、流れ星は見えないね。さぁ、もうおやすみ。
これは文章にあったか、続きを頭が勝手に作ったのか。何れにせよこれで良い。誰も泣いてないなら良かった。おやすみなさい。
そしてワタシは終わらない夢の中に。
登場人物
サトウ ツカサ
主人公。アキラに片思い。両親とは死別。天体観測が好き。
サトウ フタバ
ツカサの母。故人。
サトウ クニミツ
ツカサの父。故人。
スズキ アキラ
ツカサの幼馴染で想人。実父とは死別。天体観測が好き。
スズキ ハルノ
アキラの継母。ツカサも顔馴染み。おっとりで几帳面な性格。
スズキ フユヒコ
アキラの実父。アキラが幼い頃に事故死。
タナカ ケイ
ツカサの親友。宿屋の娘。ある時期から常にツカサを気にかける。
サイトウ ミコト
アキラの友人。共通の知り合いでアキラが好き。ツカサが疎ましい。
タカハシ シュウゴ
刑事。妻が殺害された過去有り。
流星群の夜、微睡めばキミ あ @kuhomoto
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