第8話

あれから私は無事大学を卒業した。


留年するかと思っていたがなんとか4年で卒業出来た。



あなたが描いていた夢。


『いつか施設、つくりてえんだ。…サヤみたいな奴らに、親がいなくても幸せになれるってこと証明してやりてえ。』


妹のサヤちゃんが児童養護施設に入っていたから、あなたはいつも会いに行っていたよね。


家族を守るあなたの強い瞳が忘れられない。


誰よりも優しいあなたでした。


あなたの夢は私の夢。


だから私達の夢を叶えるために私は進む。



児童養護施設で働く。


当面の目標だった。


だけど人生やはり思うようにはいかない。


狭き門だという前に私は親ありきの自分。


学費も親が支払っていたし、いくらバイトをしているとはいえ、生活費を全てまかないきれる程の稼ぎなんてなかった。


自立なんて言葉と程遠い場所にいた私は、保育士の専門学校に行くための学費なんてもっての他。


親の世話になることだけは堪らなく嫌だったから、私は大学卒業してすぐに観光系の仕事に就いた。


なぜこの職種と問われれば、受かったからとしか言えない。


お金さえ貯まればそれで良いだけ。


シフト制の仕事だったから夜は居酒屋のバイトもたまに入れていた。


焦らなくても大丈夫。


もう私には失うものなどないのだから。


あなたのいない一生が続くだけ。。。

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