第19話

それから、マナのトウヤへの猛アピールが始まって、それから3ヶ月経った頃、二人から


『付き合うことになった』


と報告が来た。



私はとても嬉しくて、『良かったね!!』と喜んで言った。



その気持ちは本当の気持ちだったけど、少しだけ寂しい気持ちもあったのは、本当。



今までみたいに3人で居られないのかな、という不安。


なんとなく仲間外れにされたような、疎外感。



友達なんていらないって思っていたのに、矛盾していた。


私って本当に我儘だ。



皆ちゃんと前に進んでいるのに、私は立ち止まったまま。



帰りの電車の中でぼんやりと考えていた。



マナとトウヤは、とても私に良くしてくれる。



自分のことを曝け出して、いろんな自分を私に見せてくれる。



だけど、私は?



きっと全然出来ていない。



私は汚い。



人には求めるのに、自分が人に求められても隠し通す。



理不尽な話だ。




(眩し…)


顔を上げると真っ赤な夕陽が私を照らしつけていた。

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