episode10 風潮
突然だが皆さんはODというものをご存じだろうか?
オーバードーズの略語で市販薬を大量に飲むことで幻覚や幻聴を引き起こすこともある危険な遊びが若者の街ではあるらしい。
帝都の繁華街 光来街 (こうらいがい)
帝都有数の悪治安場所であり、酒とタバコの匂いの残る場所だ。
「なぁ、相棒。あいつの持っていた銃の元締めが本当にここにいるのか?」
俺達二人は2日前の奴が所持していたグロック社の拳銃の密輸ルート特定に動き出した。
そして相棒の見立てではここにいるそうだ。
「奴のよく出入りした街を考えると接点はここしかないと計算した」
とりあえずそこら辺に居たホームレスのおっさんに声をかけると以外な回答が返ってきた。
「そんなら、橋の下の奴にいえばわかるだぁ」
俺の心の中で(そんなあっさりわかるかぁ?)
と思ったが言われた通りに橋下のアホそうな奴に声をかける為、近寄ったその時。
前の女性が男に言い寄られ始めた。
「一瞬にホテルに行かね?金は出すからさ」
女性は明らかに困っている。
俺は言い寄る男の肩を叩いた。
「オイ、その人困ってんだろ、やめとけ」
と俺が止めると奴はこう言った
「今の俺はクスリがあるんだよ、負けねーな」
内心は(ヨシッ!)となったが、落ち着こう。
「路地裏に行こうか」
ビルの合間の暗い路地裏に俺と奴は対峙する。
「名乗りを上げないのか?」と奴は挑発した。
続けざまに奴は名乗りを上げた。
「よく聞け!暴走族アカギ幹部 設楽だ」
と威勢よく言いながら突進してきた。
「新道零也……Spg-ζ部隊将…参る」
と名乗り俺は背後からタクティカルライトを取り出し構えた。
タクティカルライトは懐中電灯の発光力を上げた戦闘術用のライトになる。
俺のライトは1300ルーメンという非常に明るく、アメリカ軍特殊部隊御用達のタクティカルライトだ。
そんなライトで奴の目に向かって直射する。
暗い場所でこの明るさを一気に見ると、眼球の中の網膜まで強い光が貫通し、一時的に視界を奪う事が可能になり非殺傷武器ながら戦闘に適している。
「ぐわっ!?」
奴が怯んだ隙に肘の関節を取りながら変則的に懐に入る。
次の瞬間、俺は奴の肘に飛びつきオリジナルの投げ技を放つ。
肘と肩の関節を同時に極める。
奴は受け身もろくに取れず倒れ込んだ。
俺は動けない奴に問いかける。
「お前等のアジトを教えろ、見逃してもらうチャンスだぞ」
「教えます!だから、折らないで………」
「風港区の廃倉庫の中です」
骨のない奴だがまぁ許してやろう。
「相棒、このまま乗り込んでやろう」
コレは久々に熱くなれそうなヤマだ。
〜風港区 廃倉庫前〜
スネークカメラを取り出し、中の様子を確認する。
「何人ぐらいだろうな?、、、、、、あれ、誰もいねぇな」
そう呟くと、一葉が言った。
「早合点はいけないね零也、少し耳を澄ましてみたまえ。」
言われたとうりに耳を澄ますと、橋の上から暴走族のバイクの音が響く。
「なるほど、奴等が出張っているわけか」
そんな中の一葉のスマホの通知音が鳴り、相棒がスマホを開く。
「いいタイミングだよ零也。 警察の支援要請で今から奴等を追跡出来る!」
「追跡か…久々に‘‘アイツら‘‘の本領発揮だな。」
そう俺達の視線の先には、2台。
スーパースポーツタイプ(SS)のオートバイがあった。
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