episode8  鍛練

千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。



五輪書で有名な宮本武蔵の名言である。


spg-ζは至極、実力主義の為稽古を欠かすことはできない。そのため5階にはトレーニングルームに武道場が併設されており、皆毎日の様に稽古を続けている。


今日は久々に稽古を付けれる日がきた。


spg-ζは様々な武術を学んだ者が多い。

俺自身、小学生の時から合気道を学んできた。

奥の場所にいる相棒は躰道(たいどう)という武術のプロだし、かなりの手練しかいない。



畳の道場の奥からとある人物達がやってきた。

三条京矢  (さんじょうけいや)

松永刃助  (まつながじんすけ)

の二人だ。三条は同じゴースト・フェニックスの同僚で、松永刃助さんはかなり歳上の48歳

この人は、かつてフランス軍の外国人部隊の軍人だったそうだ。今は、このspg-ζの統合長であり、実質社長の様な人だ。


「新道、何人かにお前の技術を教えてやってくれ」と松永さんに依頼された。

俺が使用する戦闘術は 

       【零の白狼】

と言う名前で、この技術は俺以外に習得した者はいない。闘う事と危機管理に重きを置いており、剣術や空手道の型を繰り返すのでは無く相手に合わせて千万変化する。


そうすると、三条が俺に対して

「一度やりましょうよ、拳でも竹刀でも」

俺は「どっちでもいいぞ」と答えると

「じゃあ、どっちもやりましょう。」

と返された。

誰も使っていない。硬い剣道場で俺と三条は素手で向かい合う。審判はいない。特定の時間まで戦い続ける。

タイマーが用意され、三条の目をしっかりと見つめてから、腰を落とし地に低く構える。


肩を回し、身体中にエネルギーを伝え深呼吸する。見物客は松永さんと相棒だけ。


松永さんが

「じゃあ、始めるぞ3分………始め!」



これから始まるのは、武術史上最速の対話だ。


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