第4話 照れた笑顔とアイスのキス
~4回目のデート~
2回目、3回目のデートについては省略。
でも、何度も会って話すうちに、私はだんだん彼に惹かれていった。
それでもまだ「信頼」までは届いていない。
だって、どうしても元カノさんのことが気になってしまうから。
今回は、彼が車で迎えに来てくれた。
助手席に乗り込むと、少し照れた顔で「今日は楽しみにしてた」と言われた。
心の中で、素直に嬉しいって思う自分がいた。
まず向かったのは日本食のお店。
彼が慣れないお箸を一生懸命使おうとしている姿が可愛くて、つい笑ってしまった。
その仕草一つひとつが、なんだか愛おしく思えてきていた。
食事の後は、近くのアイス屋さんへ。
2人でアイスを食べながら話していると、彼がスプーンでアイスをすくって「はい、あーん」って。
仕方なく口を開けると、彼がわざと私のほっぺにアイスをちょんっとつけた。
「なにするの!」と軽く怒ったつもりだったけど、彼はニヤッと笑うだけ。
そのまま私のほっぺにキスして、アイスを吸い取ったのだ。
「え、何それ…!」
思わず赤くなる顔を隠せない私。
だけどキュンとしたのは確かだった…はず?いや、どうだっけ?
今思えば、あまりにもベタすぎて笑えてしまう。
それから、彼が今度は自分の口元近くにアイスをつけて、
「取って」ってイタズラっぽい目で言ってきた。
そんなことできるわけない!と、仕方なく指でそっと拭った私。
あの時「気持ち悪い」って思わなかったのは、たぶんもう好きになりかけていたからかもしれない。
その後、私のバイトの時間が近づいていたので、彼は車で送ってくれることに。
運転席でハンドルを握る姿が、妙にかっこよく見えてしまった。
「私、もしかして本当に好きになり始めてる…?」
そんな思いがふと頭をよぎる。
車内で流れる静かな音楽の中、彼がふいに言った。
「手、かして。」
え、手を繋ごうとしてるのかな?
そう思った瞬間、彼はそっと私の手を取ると、手の甲に優しくキスをした。
予想外の仕草に、心臓がギュッと掴まれる。
その後も、繋がれた手はそのまま。
バイト先に着くと、私は思い切って聞いてみた。
「元カノさんとは、もう連絡取ってないの?」
「うん、もう取ってないよ。」
「そっか。」
その短いやり取りの中で、少しだけ安心した自分がいた。
最後に「じゃあね」とバイバイした後、車が見えなくなるまで彼を見送った。
その背中がやけに遠く感じて、私の中に芽生えた恋心を静かに確信していた。
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