第12話

勢いよく彼の部屋へと繋がる襖を開けた。



立て付けの良い襖は途中で止まることもなく気持ちいいくらいにスパンと開いてくれた。



私が切羽詰まった声で「霞さん」と呼びかければ







「…なんや?どないしはったん?」






当の本人は。



霞さんは。



来週の日曜日に結婚するらしい、この家の長男は。






「そないな怖い顔しはらんといてや。嫌な夢でも見てしもたか?」








呑気に的外れな返答をする。

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