異世界に転移したら一ツ目巨人に救われました。
青樹加奈
プロローグ
世界最大のミネラルショー、ターソンミネラルショーにやってきました!
あたしは梓茜(アズサ アカネ)。ジュエリー銀河にお勤め中!
アメリカはターソンで年一回開かれるミネラルショーは世界一の規模だ。世界中から石が集まってくる。
うちの会社は、社長がめっちゃ目利きなので、ミネラルショーから直接石を仕入れてジュエリーに加工している。今回、社長は大きな商談が入ってしまい、一日遅れて明日到着の予定だ。
あたしの仕事は先輩の助手。てか、荷物持ちだけど、いつか、仕入れを任されるようになりたいなあ。
先輩は社長のボディーガードとして雇われていたのだけれど、ジュエリーの世界に魅せられてこの道に入った。
ボディーガードするだけあって、柔道、剣道は有段者、短距離、長距離も国体選手を務めたほどのスポーツ万能な人なのだ。
例えるなら、コーンフラワーブルーのサファイヤ!
爽やかに青い!
そして、モース硬度9に相応しく、頼もしくカッコいいのだ!
その先輩が飛行機の中で爆睡してて、寝顔がめっちゃ可愛かったなあ!
「おい、梓、何ニタニタしてる。行くぞ!」
「あ、はい、先輩!」
「お前、遠足じゃないんだぞ! しっかり俺について来るんだぞ! わかったな!」
「はーい、しっかりついて行きます、どこまでも~」
「何、気色悪い声出してんだよ。さっさとリスト出せ。順番に回るぞ。今年はタンザだ。今、波が来てるからな。いい石仕入れてバンバン売るぞ!」
「おー!」
というわけで、いろいろな店を回った。エメラルドやサファイヤが値頃で売られている。オパールの店であたし達は立ち止まった。
「おい、梓、見てみろ」
インド人のディーラーが、ドヤ顔をしている。
「コレ、トッテモ、メズラシイ石ネ」
真っ黒な石の真ん中に赤い十字で浮かんでいる。こんな模様が浮かぶブラックオパールなんて、見たことがない。
ディーラーがショーケースから出して見せてくれた。
先輩が指でつまみ上げる。
と、石が光った。
(ノウリョクシャハッケン)
次の瞬間、あたりが灰色の闇に包まれて、体が浮いた。
「うわあーーーー」
「きゃあーーーー」
落ちた、いや、飛んでいるのか、奇妙な浮遊感。
咄嗟に掴んだ先輩の腕。どこかに、引っ張られていく。
(二人? 能力者は二人か?)
ドン!
「逃げろ、梓!」
「きゃあーーーー、先輩!」
それが先輩の声を聞いた最後だった。
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