煤けた幸運【サンプルのみ】

【SAMPLE】

※同人誌版に書き下ろした短編『煤けた幸運』のサンプルページです。



 教会の鐘が朝を告げ、ルデジエール城の白壁は降り注ぐ陽光に輝いた。ありふれた鳥も城を横切れば絵画の一部となり、木から伸びる枝葉は一本一本、一枚一枚まで計算された額縁のようだ。領民にとって見慣れた光景とはいえ、完成された美しさにふと憧れる者も多い。

 うららかな朝の光も城の北側までは届かない。シャンペルレ公爵令嬢であるロクテーヌの居室は城の最も北に位置しており、辺りは木々に囲まれているため居室が明るくなるには少し時間が必要だ。公爵家三人と使用人たちで過ごす城には空き部屋も多く、妹であるミルティーニのように温かな南の部屋に移ってもいいのだが、そのつもりはなかった。

 ロクテーヌは夜遊びを嗜んでいる。朝日が昇ろうと暗かろうと、どうせその時間は眠っているのだから関係ないのだ。しかも、扉一枚隔てて書室があるなんて好ましいではないか。

 日が少し高くなってから目を覚まし、ゆったりと身支度を整えて寝室を離れる。凝った髪型にせず、一人で着脱できるような服ばかり選ぶのは、他人に会う予定がないからだった。少なくとも、令嬢としては。

 ロクテーヌが寝室を出た途端に黒い仔猫が肘掛け椅子から飛び降りて足元に絡みついてきた。愛らしく喉を鳴らすビオにミルクをあげ、その黒い毛並みを愛でる。

「遅かったな」

 我が物顔で座っている男に眉を顰める。

 令嬢の私室に居座るには粗末な格好で、砕けた姿勢のせいで長い手足が台無しである。男の言葉通り、すでに朝食の時間を過ぎており、調理場では昼食の準備が進んでいることだろう。本来なら令嬢付きの女中ソミュールとして昼前に一度顔を出しておきたかったが仕方ない。

 昨夜、もっと早く閉店していれば早く起きることができた。そもそも面倒な客を適当にあしらっていれば、さっさと閉店できていたのだ。じろりと睨むと、不満だけは察知したのか、フィードは首を傾げた。

「え、俺のせいか?」

「少しは自分で考えなさいね」

 フィードにとやかくいわれる筋合いなどないのだが、意図を理解する気もないようで、理不尽、と愉快そうに笑っていた。

 昼食前に小腹を満たすのも面倒で、新聞を手に時間を潰すことにした。城に閉じこもっていると《店》の経営は楽だが、情報収集が滞る。最近は特に積極的に目を通しているが、レッティーニ家のスキャンダルが紙面を賑わす様子はない。シャンペルレ公爵や妹のミルティーニが捕まえてくる噂の中にもない。あの身勝手な女は謀略渦巻く王宮でも上手くやっているようだ。

 太陽が上り、暖かくなった室内で羽織っていたストールを長椅子の背にかけると、ノックの音が響いた。

 すぐさま巻き起こった風に張り詰めた空気はかき消され、ロクテーヌは呆れたように窓際へ目をやった。バルコニーへのガラス扉は開放されており、すでにフィードの姿はない。もう少し静かに去ればいいものを、どうしてこう騒々しいのか。ビオが飛び起きて毛を逆立てている。

 閉ざされていた扉へのノックに心当たりはないが、候補はいくつか思い浮かぶ。促すと、躊躇いがちに天使のような金色が現れた。

「お姉さま……」

「どうしたんですか、めずらしい」 

 自然と声が和らいだ。少し緊張した面持ちのミルティーニが鮮やかな浅黄色のドレスを翻す。もし給仕服を着ていれば慌てて着替えなければならなかった。そんな事態を避ける事ができたのは起床が遅くなったからだが、これはフィードのおかげではない。

 長椅子の向かいに座ったミルティーニは心を決めて顔を上げると、大きな目をきらきらと輝かせた。ロクテーヌはなぜか嫌な予感がして僅かに身を固まらせたが、当然の如く誰にも気付かれなかった。

「お姉さま、私とっても心を痛めておりますの」

「……、……ええ、はい」

「そして深く反省していますわ」

「そうですか」

 手のひらを握り締め、前のめりになったミルティーニの表情には、見覚えがある。まだロクテーヌが社交界に顔を出していた頃だ。つまり、可憐な顔立ちと裏腹に情熱を滾らせている表情だ。

 ここから先はお決まりの言葉だった。

「服を仕立てなければなりません!」

「私には必要ないのですけれど」

 部屋を閉ざしてから一度も仕立てていないのは、他人と会う予定が無いからだ。そもそも普段も給仕服が大半で自分用の服に袖を通さないことだってある。それにクローゼットには新品同然のドレスがずらりと並んでいる。

「公爵家として経済に貢献するべきなのは分かりますよ。私の分もミルティーニが多めに仕立てれば問題ないでしょう」

「まあ!」

 ミルティーニは年頃の少女らしくドレスも装飾も好む。しかし、ロクテーヌの提案は到底お気に召すものではなかったらしく、頬を膨らませた。

「お姉さまったら! そんなのどうでもいいことですわ」

「……どうでもよくはないですが」

「私が気にしているのは、シェリー様が来訪されたときの服装です!」

 力説されて、その時の服装を思い浮かべる。勿論ほつれやシミは一つもなく状態は良好だった。深い赤色の生地に散りばめられた石や細かな刺繍が美しい高級品で、王の使者を出迎えるには十分な服装だったはずだ。選出はロクテーヌ自身が行ったが、いくら部屋に閉じこもっていたとはいえ培った審美眼はそうそう衰えはしない。

「お姉さまが着ていらしたのは普遍的な型のドレス……でも、流行の型にするべきでしたわ!」

「いいじゃないですか。流行に左右されずに長く愛されるデザインですよ」

「もう! 仕立屋の宣伝文句みたいなことを言っても誤魔化されません!」

 悔しそうなミルティーニに苦笑する。積極的に集めている情報に服や装飾品の流行は含まれていない。そもそも昔から自分で選ぶときに流行を意識することはなく、そういったことが得意な他の誰かに任せきりだった。ミルティーニからすれば、シェリーの前で着ていた服はお眼鏡にかなうものではなかったらしい。

「そんな面倒そうな顔したって駄目ですわ」

「ずっとこの城を出ない私に流行の服が必要でしょうか。ねえ、ミルティーニ」

「愛らしい顔したって駄目っ」

 ミルティーニはふるふる首を振って頬に添えた手を下ろした。諦めて小さく息を吐く。ミルティーニの性格を考えれば部屋に閉じこもっている間放置してくれていたことの方が奇跡なのかもしれない。

「……手配は任せます」

「ええ……ええ! よろこんで」

 花開くような笑顔を浮かべ、ほっと肩を降ろした。

 最後にちゃんと向かい合って話したのは一年ほど前——祖父ジャン=ロッシュ=シャンペルレが亡くなるよりも前だったことを思い出す。緊張してぎこちない様子だったのも、もしかしたら。

「そうそう、お姉さまにこちらを差し上げますわ」

 ミルティーニは自身の首の後ろに手を回すと、細い銀のチェーンを外した。丸みを帯びた細い指先を渡るチェーンの中央がきらりと輝く。女性用の指輪がチェーンにたわみを作っているのだった。飾り気のない指輪で、綺麗に磨かれていたが輝きの鈍さから鉄で作られた安物に見える。服装や装飾に気を配るミルティーニが選ぶとは思えない意匠だというのに、それを見つめるミルティーニは花でも愛でているかのように優しい目をしている。

「ふふっ実はハンナにも怒られましたの。令嬢にはふさわしくないのですって」

 ハンナは古くからの使用人で時折親のように小言を言って聞かせることがある。精巧に作られた贋作ならともかく、あからさまに安っぽいこの指輪なら小言も道理だ。いや、だからこそ指輪としてではなくチェーンを通して服の下に隠すようにして身に着けていたのだろう。

 指輪として使わない指輪。かつ身に着けたいもの——正体に察しがついた。

 ミルティーニは宝物のように抱えたそれをロクテーヌの手のひらにそっと置く。

「蹄鉄を溶かして作った指輪ですわ。蹄鉄のジンクスはご存知?」

「幸運の指輪というわけですか」

「そういうことです」

 指輪として使用しないならば、装飾以外の用途があるのだろう。これくらいの年齢の少女たちは往々にしてジンクスが好きなだ。幸運のジンクスを持つことで知られる蹄鉄は玄関などに飾るのが一般的だが、持ち歩けるように加工したらしい。加工した蹄鉄の効果はいかほどのものか疑問に感じたが、幸せそうな笑顔を浮かべる妹に水を差すのはやめておいた。

「幸運の指輪なら貴方が持っていた方がいいのではありませんか」

「私にはもう幸運を運んでくれましたわ」

 ミルティーニはじっとロクテーヌの碧色の瞳を見つめた。

 まっすぐな視線を受け止めていると、どこかむずがゆく落ち着かない。ふふっ、とミルティーニが笑った拍子に視線からも解放されたが、すでに席を立っており指輪を返せそうにない雰囲気だ。

「お姉さまにも幸運が訪れますように」

 すっきりとした、何かを成し遂げた顔でロクテーヌの部屋を後にする。扉を閉じた瞬間に胸の前で拳を握ると、跳ねるような足取りで廊下に踏み出した。

 ロクテーヌは受け取ってしまった指輪を指先で転がす。中指に丁度よさそうな大きさで、想像より軽い。安っぽい指輪に銀のチェーンが浮いている。レースのような繊細なチェーンだけは一級品だ。

「らしくねえことしてんな」

 声が頭の上から降ってきた。長椅子の背もたれが乗せられた腕の重さを支える。ロクテーヌは目を向けることなくにやりと口の端をあげた。

「ジンクスは好きですよ」

「へえ?」

「嘘ですけど」

 奇妙な顔をしているフィードを置いて、チェーンをはずす。身に着けるなら指よりも首がいいだろうとミルティーニと同じ結論に至る。

 首の後ろに手を回したところで細いチェーンがロクテーヌの指先を滑った。ほどけるようにして離れたチェーンを追いかけたが掴むことは敵わず、からん、と指輪が床に落ちる。そのまま床を転がって、暖炉の中でようやく落ち着いた。晩秋、長い冬を待ち望んだ暖炉は空っぽだった。そろそろ冬の支度を始める頃合だ。

 指輪を拾い上げようと手を伸ばすと、ぱらぱらと煤が降ってきた。冬の前には煙突掃除が行われる。昨年集めた煤がロクテーヌの白い指に染みを作った。



 ルデジエールはシャンペルレ公直轄地であり豊かな土地をもつ事から比較的治安がいい街であるとされる。これは治安を支える二つの要素を省いた説明だ。昔からルデジエールには食人鬼が出没するとされており、日が暮れると出歩く者がいなくなる。この信じがたい慣習が一つ目で、もう一つは裏通りの存在である。ルデジエール一番の大通りであるアールゼリゼ通りからすぐのところに、裏アールゼリゼと呼ばれる通りがある。非合法が合法となる夜の住人の拠点であり、すなわち、治安を損ねるような連中が澱となっている場所だった。

 裏アールゼリゼの中でも《店》は異質な存在だ。清潔感のある店構えがこの通りでは浮いており、いい標的になりそうなものだが住人は遠巻きにしている。通りに点々と屯する浮浪者たちも《店》の前を避けるようにしてうつろな目に何物も映さない。

 今宵は客足もなく、閑古鳥が鳴いている。こんな店が繁盛しているのもどうかと思うのでロクテーヌはそれでいい。依頼なんて数か月に一件あれば何とかなる。店内の小さな丸テーブルに分厚い冊子を広げ、手元の紙と照らし合わせて記入していく。インク壺にペン先を沈めて、紙の上に美しい筆跡がするすると現れた。ランプの炎が揺れるのに合わせて黒髪のウィッグに影が踊った。

「熱心なこって」

 毎度のことながら、いったい何の意味があるのかフィードにはわからない。店では金銭の受け渡しを行わないのだから、合わせる帳尻もない。冊子の中身は達成した依頼の記録である。ロクテーヌ自身が記載しており、詳細な記録もあれば数行で終わっているものもあった。その長さは気まぐれで決定しているように思われた。

「貴方まさか記録する必要がないなんて言いませんよね」

「えっ」

 まさに指摘された通りのことを考えていたので、フィードは返答に詰まった。口ぶりから察するに、不要だという回答は不合格だ。

 ロクテーヌはペンをテーブルに寝かせて額を押さえた。

「ねえフィード、私は罪を犯しているんです。あなたのその習性は罪ではありませんが、私からすれば共犯なのですから自覚しなさい」

 声に呆れこそ浮かんでいたが、フィードを責めるそぶりは見られない。出会った頃から——無邪気な笑顔を浮かべていた頃から彼女は一度も咎めなかった。

「いつ、どのように追及されるとも分からないのですから、言い逃れできるようにしておかなければ」

 目をそらしてしまったフィードに指をたててみせた。ふらりと背を向けて店の奥へ行こうとするので眉を寄せる。

「何逃げてるんですか」

「違う、客だ」

「!」

 大きなノックの音と共に、ドアベルが鳴った。慌てて目を向けると、扉の前に小柄な少年が立っている。背はドアノブの高さほどしかなく、膝丈のくたびれたズボンをサスペンダーで吊るしている。手足に骨が浮いているものの、昼間のアールゼリゼ通りで見かけるような普通の少年である。

 そして、丸い輪郭に鋭い目つきがアンバランスだった。

「ねえ、殺してくれるってほんとう?」

 少年は体中から怒気をにじませて、強い言葉が店内に響く。ロクテーヌは表情一つ変えず少年を迎え入れた。ランプの灯で眼鏡の厚いレンズがきらりと光った。

「おっしゃっている《店》はこちらであっていますよ」

 手元の冊子を閉じて奥の棚に戻すと少年に着席を促した。

 そろりと近寄る様は警戒心をむき出しにしたビオのようだった。少しくせのある黒髪がふわふわとしていて尚更だ。

「飲み物はどうなさいますか。紅茶でしたら大体揃えていますよ」

 女中を真似た優雅な仕草は少年にはもどかしいだろうが、挑発するように口元に笑みを浮かべる。どん、と拳が降り下ろされ、丸テーブルのランプが跳ねた。

「誰でもいいの」

「ええ」

「ぼくのおとうさんでもいい?」

「貴方のお父様がどんな重要な人物なのかは分かりませんが……」

 息も荒い少年の瞳を覗き込んだ。

「誰でも、構いませんよ」

「っ」

 喉を詰まらせ、少年の瞳が泳ぐ。ロクテーヌは飲み物の用意を中断して少年の向かいに座る事にした。腕を組み、高圧的に首を傾ける。

「ところで死についてはご理解されているでしょうか。この店にはあらゆる事情の方がいらっしゃいますが、人ひとり消えただけでは何も解決しなかった例も数多くあります」

 少年の額に脂汗が浮かぶ。しかしロクテーヌは一切手加減をしなかった。

「……依頼に問題があるとすれば、貴方のほうでは?」

 容赦ない口調に少年は口を閉ざした。注意深く観察しながら少年の返答を待つ。癖のある黒髪の下、少年は青ざめて唇を震わせている。

 しかし手のひらを握り締め、力強く顔を上げた少年に、ロクテーヌはおや、と目を見開いた。

「でも、でも、おとうさんはぼくのこと嫌いなんだ! だから、いなくなってほしい!」

「……そうですねえ」

 少年は頑として主張を改めない。少年の親が誰であろうと、引き受けた結果少年が苦しむことになろうとも店主には関係ない話だ。いつしか罪悪感に苛まれ重苦しく胸に影を落とすのかもしれないがどうだっていい。

「別に年齢制限はありませんが……」

 ロクテーヌはただ、子供が顧客になるなんて考えもしなかっただけだ。

 老婆心だったか、と冷たく目を細める。依頼を引き受けるのは簡単な話だ。それによってこの少年が今後の噂をどう扱うかを想定しておいた方がいい。悪評と共に言いふらされたらたまったものではない。

 煮え切らない返事に少年は再度机を叩いた。突然の動作だったが、ロクテーヌは腕を組んだまま微動だにしなかった。

「……もういい!」

 少年は顔を真っ赤にして背けると店を飛び出した。ドアベルがけたたましい音をたてて揺れる。扉ごしに通りを走り去る足音が聞こえてきそうだった。あまりに慌ただしいのでくすくすと笑ってしまった。フィードが不可解そうに鼻にしわを寄せる。

「ガキの癇癪に付き合うつもりかよ」

「ふふっ、そうでしょうか。子供の癇癪だというのなら、そんな普通の子供がどうやってこの店に辿り着くっていうんです」

「……確かに」

 フィードの顔に疑問符が浮かんだ。ロクテーヌは素直な反応を楽しむ。

 ここは裏アールゼリゼ。非合法が合法となる、ルデジエールの澱。浮浪者が点在する中、普通の子供が歩こうものなら格好の餌食となるはずだ。

 ふわふわの黒い髪をしたアンバランスな少年の話をもう少し聞いてみたかった。昼間の表通りを歩いていそうな少年の癇癪は何かを誤魔化すためのものに見えた。機転の利く人間は雰囲気で分かる。興味深そうにロクテーヌは笑った。



 朝からルデジエール城の使用人たちが浮足立っている。この日は毎度そうだ。ロクテーヌ付きの女中ソミュールは朝食のカートを押しながら、横目に彼らを眺めた。彼ら——煙突掃除屋のブリーズ=ベルナール氏と七人の煙突掃除人は冬支度の象徴である。

 ソミュールは何の興味も抱けそうにないので、すぐさま自らの仕事に戻った。すなわち、ロクテーヌの朝食のカートを厨房に持って行き、副料理長のミックに届けた。栗色の髪の青年で、厨房の隅にカートを戻していたソミュールに片手をあげる。その目が期待するようにソミュールを見ていたので、眼鏡の下でくすくすと笑った。

「お嬢様は今日も美味しかったとおっしゃっていたわよ。芋の冷製ポタージュなんて特に」

「そうか! よかった」

 ミックはぱっと顔を明るくした。ロクテーヌは食が細いため、料理人の自信作であっても食べきれない事が多い。しかし女中のソミュールを捕まえれば彼女がどのように自慢の料理を楽しんでくれたのかが垣間見えるので、ソミュールは厨房で歓迎されていた。

「ソミュールは落ち着いてるね。煙突掃除の日なのに」

 カートから手早く皿を取り上げながら、片眉を上げる。ああ、と今思い出したかのようにソミュールは頷いた。いくら興味がないとはいえ、他の女中から浮いてしまっていたのだろうか。言動を振り返っていると、ソミュールらしいと笑われた。

「ミックこそ、いつも通りじゃない」

「ここの奴らは全員そうだよ。厨房は定期的に煙突掃除してもらってるからな。そこまで珍しくもない」

 言葉のわりに嬉しそうにした理由をソミュールは察していた。煙突掃除の前後では火の動きが異なる、だとか以前語っていた。研究熱心な料理人にとって煙突掃除はいい機会だ。

「だから幸運を運ぶっていうなら俺らが一番幸運ってことになるな」

「案外そうなのかもよ」

「えぇ……かわいい恋人でもいたら俺だってそう思うけどさあ」

「あら」

 ソミュールはくすくすと笑い、ゆったりと二つに編んだ黒髪が揺れた。

 煙突掃除人は幸運の象徴だ。会うと幸せになれるというジンクスがある。使用人が煙突掃除の日にそわそわとしている原因がこれである。きっと数日後には誰にどんな幸運がもたらされたのかという噂で持ちきりになるだろう。

 煙突掃除は公爵の部屋から順に行われ、厨房は定期的に掃除しているため最後だ。そのため夕食の仕込みは煙突掃除までに大体終わらせるらしい。

「ベルナールさんとこの煙突掃除、腕はいいんだけどちょっと怖い感じだよなあ」

「そうだったかしら」

「俺なんて掃除人を怒鳴ってるとこ見かけちゃってさ」

 ミックは腕を組んで渋い顔でげんなりとした様子である。そんなにひどい有様だったのだろうか。ソミュールは軽く励ますと、ロクテーヌの部屋へと戻ることにした。

 ルデジエール城の煙突掃除はいつも煙突掃除屋のベルナール氏に依頼しているが彼もその掃除人もあまり印象に残っていない。幸運を運ぶとはいえ、一介の掃除人が公爵令嬢と直接話す機会はないからだ。ミルティーニなら年頃の令嬢らしく声をかけていたかもしれない。

 胸の上に手をあてて、その下に忍ばせた指輪の感触を確かめる。こんな冷たい鉄の塊が運んでくる幸運に一体何の価値があるだろう。そんな馬鹿みたいに簡単な方法でもたらされるのなら、溺れるような息苦しさも吐き出しそうな悲しみも経験せずにすんだ。

 ロクテーヌは安っぽい迷信を見下している癖に、それでも指輪を身に着けていた。贈ってくれたミルティーニの顔を思い浮かべて、穏やかな心地で。

「あ、ソミュール!」

 廊下の角で女中のアンジェに呼び止められた。勢いよく手を振っており、シャンペルレ家の使用人にあるまじき態度だ。同じく使用人であるソミュールとして注意すると慌てて居住まいを正した。

「仕事はひと段落したとこ? ねえねえ、こっそり抜けだして煙突掃除人に握手してもらいに行こうよ」

 他の使用人に怒られないように声を落とした。きらきらと目を輝かせて幸運のシンボルに胸を高鳴らせている。悪いが何の興味もない。

「……私はお嬢様の側にいるわ」

「ええっそれはそれでずるい! いいじゃん行こうよ」

「行かない」

 甘えた声で腕を引くアンジェをすげなく断る。ロクテーヌは体調が悪く部屋で休んでおり離れられないということにしようかと考えたが、より面倒なことになるだろうか。ルデジエール城には常駐の専属医がおらず、呼びつけられた街医者が診るのは健康そのものの令嬢だ。

 ソミュールは深く息を吐いた。

「……じゃあ、こういうのはどう? 一緒にロクテーヌお嬢様のお部屋で待機するの。小さい暖炉があるから昼前には掃除人が来る」

 ひゅう、と大きな音を立ててアンジェが息を吸う。予想通りの反応だ。目を白黒させたかと思うと口元ににんまりと笑顔を浮かべる。

「はああ、ソ、ソミュール……本当に最高……」

「仕方がないから今回だけよ」

「いつもソミュールばっかりロクテーヌ様と一緒で卑怯って思ってごめんね……」

「それは初めて聞いた」

 呆れた目を向けてもアンジェはどこ吹く風でロクテーヌに思いを馳せている。複雑な心境だが、くい、と眼鏡を持ち上げアンジェを引き連れて部屋に戻った。

 部屋の中央ではビオが黒いふわふわとした尻尾を揺らして寛いでいる。扉が開いた瞬間わずかに顔を上げたが、ソミュールの背中からアンジェが現れたので不満そうに一度鳴く。体を持ち上げてじりじりと距離をとるビオに気付くことなく、アンジェは夢見心地だ。

「煙突掃除人が幸運を運ぶって本当だと思う……ロクテーヌ様の部屋にまた入れるなんて……」

「まだ会ってもないでしょうに」

 どうやって幸運を受け取ったというのだ。第一ソミュールが提案したのであって煙突掃除人は何もしていないのに、運なんて言葉で片付けられてしまうとは。

「お嬢様は寝室で本を読むっておっしゃってたから多分いらっしゃらないわよ」

「それでもいい……ううっ、温もりを感じる……さっきまでここにいたのよ」

 可哀想に幻覚を追いかけて手を彷徨わせている。ソミュールは容赦なくその憐れな手に布巾を握らせて女中の仕事をした。いつの間にかビオは姿を消していた。

 二人いれば棚を動かすことが出来る。棚の裏で放置されていた埃を払って隅々まで綺麗にする。ベランダから気持ちの良い風が吹いて二人の額に滲んだ汗を乾かした。アンジェは口を開けば残念だが女中としては優秀だ。二人で働くと思いのほか仕事が捗る。次はドレスの虫干しでもしようかと衣裳部屋に目を付けていると、ようやく煙突掃除人がやってきた。

「これはこれは。ロクテーヌお嬢様の居室でお間違いないですかな」

 にこにこと薄い笑顔を張り付けた山高帽の男は、煙突掃除屋を営むベルナール氏その人だった。アンジェは咄嗟に固まってしまい早々に役立たずになった。先程の副料理長からの評価があったため反射的に観察してしまう。小綺麗な黒い服に金のボタンが並び、少し腹が出ている。くるりと弧を描く口ひげは公爵家へ出向くために整えられたものだろう。庶民の中では比較的裕福な生活を送っていると見える。

「ええ、よろしくお願いします」

 ソミュールは微笑み、黒い三つ編みが揺れた。その瞬間、ベルナール氏の体に隠れた小柄な少年を見つける。少年はソミュールの声に引き寄せられるように姿を現し、息をのんだ。

 少し癖のあるふわふわとした黒髪はあの夜に《店》で見たままだ。そしてソミュールの姿も、黒髪に眼鏡というあの夜の店主のまま。

「……まあ、可愛らしい。彼も煙突掃除人なのですか?」

 ソミュールは屈んで少年に目の高さを合わせ、頬に手を伸ばした。すっかり青ざめた少年は喉の奥を鳴らしただけで薄く開いた口が言葉を紡ぐことはない。

 ——余計なことを言うな。

 瞳に強い意志を込めて小さく首を左右に振ると、少年は震えるようにして頷いた。にっこりと口元に笑みを作って頬を撫でてやる。やはり馬鹿ではない。

「どうしたエドメ……すみませんね、一人前に緊張してやがるみたいで」

「いえ、愛らしいですわ。初々しくって」

「はは、仕事は一人前ですから、ご安心を」

 ベルナール氏はエドメ少年の頭を掴んで強引に下げさせた。エドメの態度には疑問を抱いていないようなので、ソミュールは堂々とエドメに手を差し出した。

「今日はよろしくお願いいたしますね、煙突掃除人さん」

「……は、い」

 エドメの声はか細く、ベルナール氏の目が鋭く光る。かろうじて手を握り返したものの、すぐに離れてそそくさと暖炉の前に掃除道具を広げた。水を張った桶と使い込まれたブラシが並び、煤塗れの作業服の腰に汚れた布がぶら下がっている。エドメは袖に手をかけたが腕まくりすることなく掃除に取りかかった。

 煙突掃除は専用のブラシを煙突の上から垂らして行う。屋根の上でも煙突掃除人が作業しており、ロープで固定されたブラシを受け取るのはエドメの仕事だ。暖炉の内側にたまっていた灰を桶に取り出す作業は小さい掃除人でなければ出来ない。剥がれ落ちた煤がエドメの髪に降り積もった。ただでさえ煤の付着した作業服がさらに黒く汚れていく。

 金のボタンが付いたベルナール氏の黒服は綺麗なものだ。白い手袋に煤はついておらず、頬まで黒いエドメと対照的である。ベルナール氏には彼の役割があり、それは煙突掃除そのものではない。掃除人たちの管理と、シャンペルレ家とのやり取りだ。とはいえ暖炉の内側を磨き上げるエドメの手がほんの一瞬でも止まれば怒号を飛ばすのは見ていて気分のいいものではなかった。ソミュールはアンジェと二人で部屋の壁側で様子を見守っていたが、ベルナール氏が怒鳴る度にアンジェが飛び跳ねるので、出来の悪い喜劇を見ているかのようだった。

 掃除が終わった頃には少年の手は真っ黒に汚れ、作業服にも髪にも顔にも煤がついていた。燃えがらは勿論、灰や煤が暖炉から取り去られ、冬が来れば無事に火入れが出来そうだ。まだ年若い煙突掃除人だというのに、公爵家の仕事を任されるだけあって仕上げは一人前だ。

「以上でこちらのお部屋の煙突掃除は終了でございます」

「ありがとうございました。無事に冬を迎えられそうです」

「光栄ですな。よろしければまた来年もご用命を」

 抜かりなく営業を行っているベルナール氏の隣で、体中を煤だらけにした少年は一度だけソミュールを見た。掃除の間に頭を落ち着けたのか、動揺は見られない。この場で《店》について言及するつもりはないらしい。喚きたてられたら、頭のおかしな少年に仕立て上げなければならなかったので手間が省けて丁度良かった。

「それでは」

「あっ、あっ、あの!」

 頭を下げて退出する煙突掃除人にアンジェが声を絞った。先程からずっともじもじしていたことには気付いていたが、ようやく腹を決めたらしい。

「あ、あ、握手してくれませんかっ」

「……ぼく?」

 ずい、とエドメの正面に手が差し出される。アンジェの手にはあかぎれやささくれはあるものの、綺麗なものだ。握手をすればたちまち黒く汚してしまうであろう手を前にエドメは躊躇った。煙突掃除人は握手を求められることも多いがその大半は掃除前である。ソミュールが握手したタイミングで頼めば良かったものを、上手く頼めなかったのだ。

 エドメは戸惑いながら頷いた。

「は……はい……」

「わあ! ありがとうございます」

 手が汚れることを気にせずに握手して喜んでいるアンジェは少年の怪訝な顔に気付かない。煤がついてしまった手を宝物のように掲げて心から嬉しそうに握り締めた。

「もう手あらえない……!」

「……どう見たって洗った方がいいわ」

 ソミュールは頭を抱えた。子供じゃあるまいし、と呆れる一方でそんな素直なところが好ましくもある。手に負えない。

 エドメは未知の生物に慄き、ベルナール氏に隠れるようにしてそそくさと退出していった。ついでにアンジェの背を押して追い出すが、名残惜しそうにちらちらと部屋の中を覗き込む。本来の仕事を抜け出して来ているため、そろそろ戻らなければ叱られるのはアンジェだ。

「あんなに小さいのにすごいよね。幸せを運んじゃうんだよ」

 煤のついた手をうっとりと掲げて、最後まで夢見がちな事を言っていた。ちゃんと仕事に戻れるのか心配な女中である。

 煙突掃除人の少年に対してロクテーヌは少し異なる印象を持つ。一般的に、幼い頃から煤を浴びて働く煙突掃除人の寿命は長くない。屋根の上から専用のロープブラシを使えばまだましだが、その役割を別の掃除人と分担していた。煙突の中に入って内側から掃除をしていたエドメがベルナール氏ほどの年齢まで生きているのか非常に疑わしい。

 すなわち依頼の動機は十分あるということだ。

「……」

 ロクテーヌは首を振ってそこで思考を止めた。煙突掃除を待つ間に、もう昼だ。ソミュールはロクテーヌの食事を用意しなければならない。忘れるな、とばかりに足元にビオがすり寄ってきたので、小さな顎に指を差し入れ少しの間だけ戯れた。



 朝から城に漂っていた浮かれた空気はひとまず落ち着いていた。使用人たちはすまし顔で自らの仕事に勤しみ、完璧な城を保っている。厨房の煙突掃除も終わったようで、カートの上に昼食が並べられていた。煮込み料理はなく、比較的短時間の加熱で済むものばかりだが、その分いつもより装飾が豪華だ。彩りだけでなく、普段見ない凝った飾り切りもされている。ご機嫌な副料理長が夕食を楽しみにしてくれと息まいていたので、ソミュールはくすくすと笑った。

 廊下の床は大理石で、カートを押すとどうしても音が出る。もっとさり気なく移動できればいいのだが、すべての床を絨毯で覆ってしまっては掃除の手間が増えるので諦めた。カートを押すソミュールの姿が使用人の視界に入る。料理を覆う銀のクローシュに映った使用人はカートの音にちらりと目をやってすぐに仕事に戻っていった。極めて日常の平凡な光景なので目線を動かさない者もいた。ソミュールを不審に思っているような素振りは見られない。

 エドメはまだ《店》の話を言いふらしていないらしい。少なくとも、シャンペルレ家の人間には。圧倒的な暴力を持つ店主には逆らわないだろうと予想していたが、やはりそれなりに頭が回る。

 厨房からロクテーヌの部屋へ向かうため城の正面玄関にさしかかると、煙突掃除人がずらりと並んでいた。煙突掃除を終えて服装は汚れていたが、胸を張って凛々しい佇まいだ。体が小さいエドメはすぐ目についた。《店》で癇癪を起こした少年の姿はなく、じっと押し黙っている。侍従長が礼を述べている場で一女中が横切ることも出来ず、ソミュールはカートを止めた。足を揃えて、壁で人形のように背を伸ばしている使用人たちに加わる。

 ベルナール氏が胡散臭い笑みを顔に張り付けて、侍従長と無難な挨拶を交わしている最中のことだった。大人しくしていたエドメが、ベルナール氏の裾を引いた。

「ねえおとうさん、忘れ物しちゃった」

「なんだと」

 ベルナール氏は煩わしそうにエドメの手を振り払う。少年は大事にしていたボタンを落としたと主張し、何度もベルナール氏の腕を引いた。ほつれた袖口を見せつけて眉を寄せる。

「きっとおじょうさまの部屋だよ。それまでは絶対にあったんだ」

「そう簡単に取りに行けるわけねえだろ。大したボタンじゃねえくせに。すいませんね、見つけたら捨てて貰っていいんで」

 ベルナール氏の口元が引きつる。どうにか笑顔らしきものを保ったまま、騒ぐエドメの口を押さえた。ベルナール氏の手のひらは小さなエドメの顔の半分以上塞いでしまうほど大きかったが、エドメは全く諦めなかった。小さな体を活かし、身をよじるようにして拘束を抜け出すと、不満を顔いっぱいに浮かべた。

「ねえ! ぼく、やだよ」

「いい加減にしねえか!」

 ベルナール氏から、かろうじて残っていた笑顔までもがみるみる消えた。威圧的な大声に飛び上がる女中もいた。明らかに苛立っており、使用人の間にも緊張が走る。

「……あらあら、大変」

 そんな中、侍従長のハンナは一切の動揺を見せなかった。エドメの両手をそっと包み、怒りに顔を赤くしているベルナール氏からそっと離す。エドメと目線を合わせ、シャンペルレ家に相応しい和やかな笑みを浮かべた。

「私たちと一緒に探しましょうか」

「……うん」

 小さな声で頷く。そこでエドメはソミュールに視線を向けた。何人もいる使用人に紛れたつもりだったが、見つかっていたらしい。

「あのおねえさんがきっとつれていってくれると思うな」

「……ソミュール?」

 突然の指名に、その場の注目が集まる。

 すました顔の女中は目を細め片眉をあげた。しかしそれすらも長い前髪と眼鏡に隠れて無機質だ。ソミュールは少年がボタンを無くしたというロクテーヌの部屋を担当しており、まさに適任である。

「……承知しました。丁度向かうところでしたから」

 頭を下げればほっと空気が緩む。誰だって苛立った人間の叱責などいつまでも見ていたくはない。ソミュールは壁に寄せていたカートを押し、エドメを連れ出した。さっさとしろ、とベルナール氏が急かすのでゆとりを持って足を運んだ。

 カートを押すソミュールに少年は大人しく着いてくる。小さな体は痩せぎすで貧相で、しかしその目は注意深く辺りを窺っている。廊下を進み、周囲から誰もいなくなったところでなくしたはずのボタンをポケットから取り出した。詰めが甘い。ロクテーヌならばちゃんと部屋に置き忘れる。

「お城の人があんな店をしてるってバレたらこまるんじゃない?」

 つんと顎を上げてエドメは腕を組んだ。強気な態度にくすくすと笑いがこみ上がる。

「私を脅そうだなんて、悪い子ですね」

 店主の顔に変わったロクテーヌは歩みを止めカートを背にした。廊下の窓から差し込む昼中の光が輪郭の上に暗い陰を作り出す。エドメは怯まなかった。両手を握り、奥歯を噛みしめて睨みつける。

「……いい子にしてたってろくに食えやしない」

「あら、シャンペルレ家は十分な対価を支払いますよ」

「ぼくがもらえるわけじゃない。おねえさん見てわからないの」

 少年の不遇であればひと目見ればわかる。小さな痩せぎすの手足に骨が浮いて痛々しい。手首まである作業服の袖を捲くらなかったのは、腕が、いやもしかしたら体中が、見せられるような状態ではないからだ。幸福のシンボルだなんて囃されている事が馬鹿らしく、ついつい冷めた目になる。

「もういい、のではなかったのですか?」

「……この前はごめんなさい。でもやっぱりぼくは死にたくない」

 エドメは拍子抜けするほど素直に頭を下げた。小さな体が更に小さくなってしまう。エドメの肩は震えていた。はてさてフィードはこのみすぼらしい少年の声を癇癪だと評するだろうか。

「いいでしょう。依頼を承りました」

 ロクテーヌは微笑んだ。どうせあの男は少年の事情なんて興味はない。ロクテーヌにとっても《店》に持ち込まれた依頼だというだけでその資格は十分だ。

 ほっと息をついたエドメは、手を後ろに回し指先を握りしめたままだ。それはそうしなければ、止まらない指の震えが見つかってしまうからだった。



サンプルページ・完

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