第43話

今日は私の29回目の誕生日。


大好きなゴリラと過ごす誕生日。



早朝バズーカで起こされて自衛隊みたいなゴリラの愛車で海沿いをドライブ。

ゴリラは運転がうまい。ゴリラのクセに。そこも大好きなところのひとつ。

海鮮丼が人気のお店でランチしてたくさん買物をして久しぶりに映画館に行ってホラー映画を観た。




「あー楽しい♪お腹すいた~晩御飯何食べる?後藤は何が食べたい?」


「今日はちょっといつもとは違う店に行きます」


「どこ行くの?」


「○○ホテルの○○○」


「な、なんですって!?」


ゴリラが行くと言ったのは一流ホテルのレストラン。


「それならドレス着てくればよかった!」


と言っている私の頭の中は、もしかしたら香織の予言通り、されちゃうかもしれないプロポーズでいっぱいになっていった。



綺麗な夜景が見える窓際の席で…美味しい料理を食べて…ワインかシャンパンかなんかのグラスを傾けて…微笑みながら愛を語らって…


そして白いテーブルクロスの上にスッと出される小さな箱…


みたいな!?


もしかしてそれが今夜!?


キャー♡♡♡


香織ちゃん!きたわ!ついにきたわよー!!




…と思っていたのだけれど。




一流ホテルの高級レストランでの素敵な食事は小さな箱が出てくる場面はなく…


普通に最後のデザートを美味しくいただいて終わってしまったのよ…。




香織のせいで期待しすぎたわ…


香織のバカー!ウソつきー!オタンコナース!




でもすっごく美味しくて、雰囲気のせいかゴリラもいつもよりカッコよく見えた。


てゆーかここで食事するからいつもよりちょっとオシャレしてたのね。うふふ。ゴリラったらかわいい。



食事を終えてレストランを出る。


「美味しかったわぁ~!ありがとうごちそうさまでした」


愛の巣に帰るのかと思っていた私。


するとゴリラが私の手を握りニヤニヤしながら


「部屋を取ってあります」


と言って歩きだした。


「いや~ん♡」



香織ちゃん!きたわ!やっぱりきたわよー!!




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