第2章45話:戦利品

ラッガルを無事に倒せた。


そのあと俺は兵士たちの首を切り落としていく。


うっかり生き残っていたりする可能性を完全につためだ。


ラミアリスも雑木林ぞうきばやしから出て、高台たかだいから降りてきた。


「お疲れ様」


と言ってくる。


「おう」


と俺は応じた。


「ナイスアシストだった。フラウも」


「ふきゅきゅっ!!」


とフラウが可愛らしく返事をした。


ラミアリスが答える。


「ほとんどあなた一人で倒してたけどね。あたしなんて、ちょっとだけ矢を撃っただけよ」


「その"ちょっとだけ"をきちんと決めてくれたおかげで、ラクに勝てたということだ」


ラミアリスがラッガルに狙撃を成功させてくれたおかげで、ラッガルに楽勝で勝つことができた。


バフポーションがかかったラッガルと戦うのは面倒だったからな。


ラミアリスとフラウの貢献こうけんは大きい。


「とりあえず、回収できるものを回収して、ここを離れるぞ」


「そうね」


そして俺たちは回収作業かいしゅうさぎょうをおこなう。


終わったら、ひとまずその場を離れた。


高台たかだいを登って、雑木林の奥へと退散する。


ラミアリスが尋ねてくる。


「で……結局、お目当めあてのものは入手できたの?」


「ちょっと待ってろ。このアイテムバッグに入ってるはずだが」


俺はアイテムバッグから、お目当ての品物を取り出す。


それは……


「あった」


「……これが、えっと、なんとかソード?」


「そうだ。こっちがゴールドソード、こっちがシルバーソードだ」


俺はアイテムバッグから2つの武器を取り出していた。


【ゴールドソード】



【シルバーソード】だ。


ゴールドソードは金色の柄やつばの部分が金色であり、刀身にも金色の装飾がほどこされた剣。


シルバーソードは、それらが銀色になったバージョンである。


「金銀の剣、ということね」


「ああ、そうだ」


「強いの?」


「めちゃくちゃ強いぞ。それぞれ特殊効果が付いていてな」


俺は説明をする。


「ゴールドソードは全ステータスをプラス10してくれる武器だ。武器強化するとプラス15、プラス20と、上昇値じょうしょうちもあがっていく。だから強化石きょうかいしで強化し続ければ、ずっと現役でいてくれる武器だ」


「それはすごいわね」


「そしてシルバーソードは、特定とくてい魔族まぞく瞬殺しゅんさつする能力がある」


「ふーん」


ラミアリスはシルバーソードの説明には、あまり興味がかれない様子だ。


まあ、一部の魔族を瞬殺だからといってなんだ……とは思うだろうからな。


しかし、領主と戦うときには役に立つ武器だ。


なにしろ領主との戦いでは、魔族を召喚してくる可能性があるからである。


「俺はシルバーソードを使う。あんたはゴールドソードを使ってくれ」


「え……? あたしがゴールドソードをもらっていいの? あなたの説明を聞いている限り、一生使える武器って感じがするけど」


「構わん」


ゴールドソードは、最強武器さいきょうぶきの一つ。


武器強化をすれば永遠に現役でいられるのは魅力的だ。


――――敵にあわせて武器をあれこれと切り替えるスタイルは、面倒だと感じる人も多い。


それに対してゴールドソードは、わかりやすく強い武器なので、最後まで使い続けるプレイヤーも多かった。


実際。


『アルズクロス物語は、ゴルソ一本でクリアできる』


などと言われたぐらいである。


しかし、RTAにおいては武器を付け替えたほうが効率がいいので、俺はゴールドソードは使わない主義だ。


「じゃあ……ありがとう。あたし、ずっとこれを使っていくわ」


ラミアリスはゴールドソードを手に持って、嬉しそうに微笑んだ。




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