第1章30話:戦利品

「ふう……」


深呼吸をする。


集中が解けていく。


戦っているときは気がつかなかったが、なかなか汗をかいていたようだ。


服の中が汗ばんでいる。


俺は額の汗をぬぐう。


そのあと剣をバッと振り払って、血を落とす。


そのとき身体に光のエフェクトがあふれた。


どうやらレベルが上がったようである。


「お疲れ様」


ラミアリスが声をかけてきた。


「こんなに強い相手に勝っちゃうなんて……あなたって、本当にすごいわね」


「大したことはないさ」


衛兵隊長ヴェルナンより強いヤツはいくらでもいる。


まだ最序盤さいじょばんの難関を越えただけに過ぎない。


しかし、まあ……


山場やまばを乗り越えた達成感はあった。


今は、この達成感にひたっていいのかもしれないな。






さて、俺たちは戦利品の回収をおこなう。


衛兵隊長たちから回収できたものは以下である。




ロングソード


魔獣の牙


低強化石


衛兵隊長の防具


ボルケウスの戦衣せんいx2


初級回復ポーション


中級回復ポーション


地図


日誌とペン


キャンプ用具一式




まずロングソードだが、衛兵隊長が使っていたものである。


攻撃力を+12してくれるので、ショートソードより強く、今後の戦闘で使っていける武器だ。


ストックしておこう。


次に【魔獣の牙】だが、これは武器の素材である。


あとで強い武器を製作するのに使えるのでストックしておく。


次に【強化石】について。


もちろんストックしておく。


次に【衛兵隊長の防具】について。


胸当むねあて、肩当かたあて、腕甲わんこう足甲そくこうなどなど。


隊長だけあって、ヒラの衛兵よりも良質な防具である。


とはいえ、こういった防具は重くなる。


ゆえに今後使っていくつもりはない。


ストックはせず、ここで捨てておこう。


次に【ボルケウスの戦衣】について。


こちらも防具である。


衛兵隊長の防具は捨てたが、この防具は、今後使っていきたい。


防御力が+21になる装備である。


ゆえにストックしておく。


次に【回復ポーション】について。


回復ポーションはいくらあっても困らないものだが、バッグに余裕がない。


中級ポーションだけ確保して、初級ポーションはストックしないでおこう。


次に【地図】について。


俺は告げた。


「周辺の地図だな。だが……俺はこのへんの地理が頭に入っている。たぶん使わないだろう」


RTAにおいては「地図を確認せずに攻略する」のは基本の動作だ。


なぜならいちいちマップを開くと、それだけで時間を奪われるからである。


ゆえにRTAをやりこんだ俺は、ゲームの地理をほとんど完璧に頭に叩き込んでいる。


わざわざ地図を確認しなくても移動できるのだ。


「じゃあ、地図はあたしがもらってもいいかしら?」


とラミアリスが言ってきた。


俺はうなずく。


「別に構わないぞ」


「ありがと」


というわけで、ラミアリスが地図を預かることになった。


そして次に【日誌とペン】である。


衛兵隊長が日誌に、日々の記録を書き残しておいたようである。


まだ使っていないページや、余白も結構ある。


メモちょう代わりに使えそうだ。


ストックしておこう。


戦利品の最後は【キャンプ用具一式】だ。


テントや火打石ひうちいしなどがある。


もちろんストックしておく。


「さて、こんなもんか」


戦利品の仕分けが済んだ。


「衛兵と戦って疲れたわ。ご飯が食べたいわね」


「ああ。そうだな。いい時間だし、今日は休むとするか」


そろそろ日が暮れてきている。


俺たちは、少し移動したところで、野宿をすることにした。




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