第1章10話:戦利品

連撃を食らって盗賊がよろめいたとき。


「ふっ!!」


横から、ラミアリスが蹴りを放った。


ミドルキックであり、盗賊の脇腹わきばらに突き刺さる。


「あがっ!? うごっ!!? やめ、やめてくれ!!」


盗賊が懇願こんがんしてくる。


だが、もちろん俺とラミアリスはやめるつもりはない。


殴る。


蹴る。


叩く。


打つ。


盗賊は短剣を腰に携えていたが、それを抜く暇など与えない。


反撃のすきを与えることなく、2たい1でタコ殴りにし続けた。


そして。


30発ぐらい殴ったあと、盗賊はようやく気絶する。


「よし……倒したな」


ただ、ちゃんとトドメを刺しておいたほうがいい。


俺は、ふたたび岩石を拾う。


そして2人の盗賊の頭に、岩石を何度も叩きつけた。


これで、盗賊たちは確実に死んだであろう。


「やったわね」


「ああ」


俺たちは勝利を喜ぶ。


そのときラミアリスが手を挙げてきた。


ハイタッチのポーズだ。


俺はラミアリスに手を振り、ハイタッチを交わす。


「さて、戦利品せんりひんの回収をしよう」


「ええ」


倒した盗賊から、戦利品を集める。


まず武器を回収する。


盗賊たちが持っていた武器は二つ――――斧と短剣だ。


「斧は俺が使う。短剣はあんたが使え」


「わかったわ」


武器を携帯するためにはベルトが必要だが、それも盗賊から奪うことにした。


俺は肩と腰に2つベルトを巻き、肩のベルトをつけて、斧を背中にたずさえる。


ラミアリスは腰にベルトを巻き、短剣を携えた。


「次に盗賊が持っていたバッグだが……中身は、回復ポーション、火打石ひうちいし、それからカネだな」


盗賊たちのバッグを漁る。


二人が持っていたものを全てあわせると。


回復ポーションx2


火打石x2


1000ディリン


……以上である。


ディリンとはゲーム内の通貨だ。


1ディリン=1円である。


つまり1000ディリンとは1000円のことだ。


「まあ、こんなもんだな」


「アイテムバッグじゃなくて、普通のバッグなのが残念ね」


それはしょうがない。


こんなしたの盗賊が、アイテムバッグなんか持っているわけがない。


アイテムバッグは高級品こうきゅうひんだ。


普通に購入したら、一番安いものでも100万ディリンはくだらないからな。


「だが、ないよりはマシだ」


アイテムバッグでなくても、当面、物入ものいれとして利用できるバッグがあるのは嬉しい。


アイテムバッグを入手するまでは、しばらく普通のバッグを使っていこう。




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