第6話

たとえこの場で殺されようとも、それが私の運命ならもう諦めるしかない。



必死で命乞いをしてまで、生きていたいとも思わない。



残念な事に、私は諦める事に慣れている。



見知らぬ暴漢――多分、男――に深夜の山中で、いきなり口を塞がれ拘束されても。



これも運命だと思えてしまうくらいには。



だから、やがて抵抗を止めた。



口元を覆う手の平を剥がそうとする事も。

声を出そうとする事も。

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