第2話
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
声を上げようにも、大きな手の平が口元を覆い、喉の奥でくぐもった音しか漏らせない。
目前に広がるのは、漆黒の闇。
かろうじて光があるとすれば、それは月明かりのみ。
ただでさえそこは、鬱蒼とした木々が生い茂る森林の中だった。
昼間でも薄暗いこの場所では、仄かすぎる月明かりなんてあってないようなものだった。
やっぱり失敗だったと、今更悔やんでももう遅い。
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